研究概要 |
私たちの研究の目的は、受容体がアゴニストにより活性化される時に、受容体タンパクがホモダイマーを形成するかどうかを調べることです。そして、ダイマーが形成されているならば、ダイマー形成時とそうでないときにおいて、受容体の薬理学的な性質が異なるかどうかを調べることにあります。タンパクSは、このダイマーの作りやすさに影響を与えるものと予測できますので、タンパクSを共発現させた細胞と、そうでない細胞を比較しながら実験を進めてきました。 (1)タンパクSや、受容体を共発現させたstableなクローンを作成しました。タグのあるものや無いものなど、各種の組み合わせの細胞を作成しました。 (2)現在、ホモダイマーが形成されているかどうかを、共焦点レーザー顕微鏡を用いてFRET法などにて調べています。 (3)細胞を潅流し、さまざまな刺激に対する応答を調べるため、バスチェンバーをセットアップしました。この手法を用いて、リアルタイムに細胞動態・シグナリングを観察している最中です。 (4)アゴニスト刺激に伴うFura-2レシオメトリーにて細胞内Ca^<2+>濃度上昇を測定し、濃度-作用曲線などを解析しています。現在のところ、細胞により濃度-作用曲線のHill係数が細胞によって異なっていることを観察しています。 (5)ホモダイマーと細胞内Ca^<2+>の上昇にも関係が見られそうですが、細胞内のCa^<2+>動態をさらに微視的に観察しなければならないなどの課題も明らかになりつつあります。このため、Fluo-4あるいはG-CaMP(Ca^<2+>感受性GFP変異体変異体:Nakai, et al., 2001)を用いて、定量的な検討を行おうとしている最中です。 (6)タンパクSを共発現させた細胞にても、同様に調べています。
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