研究課題/領域番号 |
21590274
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
西宗 敦史 福井大学, 医学部, 助教 (40311310)
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研究分担者 |
村松 郁延 福井大学, 医学部, 教授 (10111965)
森島 繁 福井大学, 医学部, 准教授 (50290911)
鈴木 史子 福井大学, 医学部, 助教 (80291376)
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キーワード | SUMO化 / シナプス伝達 / 翻訳後修飾 / 神経伝達物質受容体 / 細胞内トラフィキング |
研究概要 |
研究実施計画に基づき、SUMO化基質トラッピングコンストラクトのうち基礎的なトラッピングコンストラクトの構築を行った。現在マウス体内で全身性にトランスシーンを構成的かつ強力に発現させた実績の豊富なCAGプロモーター(大阪大学医学部宮崎純一教授より供与していただいた)を用いて、一般的なSUMO化基質のトラッピングコンストラクトを発現するトランスジェニックマウスの作製を、大阪大学の岡部勝教授、井川正人准教授のご協力の下で行っている。このマウスの系統が樹立されれば、脳からシナプトソームを分画し、シナプス構成タンパク質のSUMO基質の包括的同定をおこなう。 研究成果としては、哺乳類脳の代表的な興奮性伝達物質であるグルタミン酸の脱分極刺激による放出に対してSUMO化の影響を評価し論文および学会発表を行った。この結果として、SUMOはシナプス前終末でグルタミン酸放出を負に制御しており、未同定の基質の関与が明らかとなった。基質の候補として、分子内にSUMO化コンセンサス配列を有する電位依存性カルシウムチャネル(Cav2.2)が挙げられたので、脱分極刺激に伴って起こるシナプス前終末へのCa^<2+>流入へのSUMO化の影響を評価した。SUMO化はCa^<2+>流入へも同様に抑制性の効果を持つことが明らかとなったが、グルタミン酸放出への影響中Ca^<2+>-流入への効果は部分的な影響をもつに過ぎず、機構的には一部がCa^<2+>流入量の調節を介すると結論されるにとどまった。つまりシナプス伝達の調節機構としてのタンパク質SUMO化は、未知の前シナプス基質を介すると考えられる。従って、シナプス前終末のSUMO化基質の同定は更に重要な生理的意義を持つことが期待できる。
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