研究概要 |
研究者らは、外向きK^+チャネルの障害で延長した心室筋細胞の活動電位をL型カルシウムチャネル(LTCC)阻害薬が効率的に短縮することを見出した。そして、LTCC阻害薬がLTCCの興奮収縮連関に対する作用を最低限に留めながら、活動電位短縮をきたすためには、LTCC阻害薬が活動電位中のLTCCの不活性化を促進することが重要であると考えた。 平成22年度の研究の目的は、LTCC阻害薬がLTCCの不活性化を加速する機序を明らかにすることである。 LTCCの膜電位依存性不活性化(VDI)には、速い成分と遅い成分が存在する。そこで研究者らは、ジヒドロピリジン系LTCC阻害薬ニフェジピンが、速いVDIを障害する変異を有するLTCC(LTCC(G436R))のVDIに与える効果を検討した。その結果、ニフェジピンはLTCC(G436R)の障害された速いVDIを復活させ、遅いVDIには影響を与えずに、VDIを加速することが分った。 次に、ニフェジピンが遅いVDIを障害するLTCC(LTCC(S4051,A752T,V1165T,I1475T))に対する効果を検討したが、HEK293細胞におけるこの変異体の発現が非常に悪く、現時点ではまだ信頼性のあるデータは得られていない。 したがって平成22年度の研究からは少なくとも、ニフェジピンはLTCCの速いVDIの背景にあるLTCCのconformation変化を促進することにより、LTCCのVDIを加速することが分った。
|