研究概要 |
研究目的:心肥大・心不全に伴う心室頻拍発生のトリガーに,一過性受容体電位(transient receptor potential, TRP)チャネルの中でTRPCチャネルの活性化が直接関与しているかについて検討することを目的とする研究である。 研究成果:1)麻酔下の活性化型のG protein αqを一過性に強発現したPLCの活性化された心肥大・心不全誘発トランスジェニックマウス(Gαq TG)は、頻回に心室性期外収縮を引き起こし、心室性頻拍の発生も認められた。TRPCチャネル阻害薬であるSK&F96365は、この誘発された心室性期外収縮の数と心室性頻拍を有意に抑制した。2)Gαq TGマウスのランゲンドルフ心において、ヂアシルグリセロール類似物である1-oleoyl-2-acyl-sn-glycerol(OAG)は、正常マウス(WT)と比較して心室性期外収縮の数を有意に増加させ、心室性頻拍を誘発させた。このOAGの効果は、SK&F96365の投与により抑制された。3)単一心筋のパッチクランプにおいてGαq TGマウスの心室筋は、早期後脱分極によるtriggered activityを誘発した。このtriggered activityの誘発は、SK&F96365の投与により抑制された。 意義と重要性:心肥大・心不全に伴う心室頻拍発生のトリガーに,新しいイオンチャネルの関与が示唆され、新しい抗不整脈薬の開発の可能性がでてきた。
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