ミクログリアのα7ニコチン受容体の新しいシグナル伝達様式と脳内炎症治療への展開

2011 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 21590281
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 薬理学一般
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 秀 和泉 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20253073)
• 研究分担者: 酒井 規雄 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70263407)
• 研究期間 (年度): 2009 – 2011
• キーワード: 中枢・末梢神経 / 炎症 / ミクログリア / ニコチン受容体

研究概要

脳ミクログリアにおいてα7ニコチン受容体はイオンチャネルとは独立した代謝型シグナルを介して細胞内ストアからカルシウム放出を引き起こす。この反応はチロシンリン酸化に依存し、炎症時に生じる酸性条件下や酸化ストレス下に増強され、リポポリサッカライド(LPS)による炎症誘導を抑制する。一方、LPS刺激はミクログリアに細胞死を引き起こすが、細胞死を免れた一部の細胞は長期間生存維持し貪食などの保護的機能を発揮する。α7ニコチン受容体は抗炎症作用に加え保護的ミクログリアには促進効果を示すことから、炎症疾患治療の標的としての可能性がさらに期待される。

研究成果

• [雑誌論文] Extracellular ATP differentially modulates Toll-like receptor 4-mediated cell survival and death of microglia (2011)
  • 著者名/発表者名: Harada, K., Hide, I., Seki, T., Tanaka, S., Nakata, Y., Sakai, N.
  • 雑誌名: Journal of Neurochemistry 巻: 116 ページ: 1138-1147
  • DOI: doi:10.1111/j.1471-4159.2011.07170.x.
  • 査読あり
• [雑誌論文] A critical role of conventional protein kinase C in morphological changes of rodent mast cells (2011)
  • 著者名/発表者名: Yanase, Y., Hide, I., Mihara, S., Shirai, Y., Saitho, N., Sakai, N. et al.
  • 雑誌名: Immunology and Cell Biology 巻: 89 ページ: 149-159
  • DOI: doi:10.1038/icb.2010.67
  • 査読あり
• [雑誌論文] Establishment of a novel fluorescence-based method to evaluate chaperone-mediate autophagy in a singlz neuron (2011)
  • 著者名/発表者名: Seki, T., Ki Y., Tanaka, S., Dohi, E., Onji, T., Yamamoto, K., Seki T, Yoshino KI, Tanaka S, Dohi E, Onji T, Yamamoto K, Hide, I., Sakai, N. et al.
  • 雑誌名: PLoS ONE 巻: 7 ページ: E31232(11頁)
  • DOI: doi:10.1371/journal.pone.0031232
  • 査読あり
• [雑誌論文] Hypoxic stress activates chaperone-mediated autophagy and modulates neuronal cell survival (2011)
  • 著者名/発表者名: Dohi, E., Tanaka, S., Seki, T, m Miyagi, T., Hide, I., Sakai, N. et al.
  • 雑誌名: Neurochemistry International 巻: 60 ページ: 431-442
  • DOI: doi:10.1016/j.neuint.2012.01.020
  • 査読あり
• [雑誌論文] Congo red, an amyloid-inhibitibg compound, alleviates various types of cellular dysfunction triggered by mutant protein kinase Cγthat causes spinocerebellar alaxia type 14(SCA14) by inhibiting oligomerization and aggregation (2010)
  • 著者名/発表者名: Seki, T., Takahashi, H., Yamamoto, K., Ogawa, K., Onji, T., Adachi, N., Tanaka, S., Hide, I., Sakai, N. et al.
  • 雑誌名: Journal of Pharmacological Sciences 巻: 114 ページ: 206-216
  • DOI: doi:10.1254/jphs.10170FP
  • 査読あり
• [雑誌論文] Mutant protein kinase C gamma that causes spinocerebellar ataxia type 14(SCA14) is selectively degraded by autophagy (2010)
  • 著者名/発表者名: Yamamoto, K., Seki, T., Hide, I., Sakai, N. et al.
  • 雑誌名: Genes Cells 巻: 15 ページ: 425-438
  • DOI: doi:10.1111/j.1365-2443.2010.01395.x
  • 査読あり
• [雑誌論文] Effect of trehalose on the properties of mutant ?PKC, which causes spinocerebellar ataxia type 14, in neuronal cell lines and cultures Purkinje cells (2010)
  • 著者名/発表者名: Seki, T., Abe-Seki, N., Kikkawa, T., Takahashi, H., Yamamoto, K., Adachi, N., Tanaka, S., Hide, I., Sakai, N. et al.
  • 雑誌名: Journal of Biological Chemistry 巻: 285 ページ: 33252-33264
  • DOI: doi:10.1074/jbc.M110.146704
  • 査読あり
• [雑誌論文] Studies on the constituents of whole plants of Youngia japonica (2009)
  • 著者名/発表者名: Yae, E., Yahara, S., El-Aasr, M., Ikeda, T., Yoshimitsu, H., Matsuoka, C., Ono, M., Hide, I. et al.
  • 雑誌名: Chem. Pharm. Bull 巻: 572 ページ: 719-723
  • DOI: 10.1248/cpb.57.719
  • 査読あり
• [学会発表] Purinergicmodulation of Toll-like receptor 4-regulateddeath or survival of microglia (2012)
  • 著者名/発表者名: Hide, I., Sakai, N., et al.
  • 学会等名: THE 29th NAITOCONFERENCE ON GLIA WORLD. Dynamic Function of Glial Cells in the Brain
  • 発表場所: Kanagawa, Japan
  • 年月日: 20121005-08
• [学会発表] Toll-like receptor4活性化ミクログリアの異なる細胞反応とプリン受容体の関与 (2012)
  • 著者名/発表者名: 秀和泉、原田佳奈、関貴弘、田中茂、柳瀬雄輝、酒井規雄
  • 学会等名: 第85回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 京都市
  • 年月日: 20120314-16
• [学会発表] 低酸素環境下におけるGs共役型受容体GPR3の神経細胞保護作用 (2012)
  • 著者名/発表者名: 田中茂、宮城達博、土肥栄祐、秀和泉、酒井規雄、他
  • 学会等名: 第85回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 京都市
  • 年月日: 20120314-16
• [学会発表] げっ歯類脳における恒常性Gs活性化受容体GPR3の発現と神経細胞内局在 (2012)
  • 著者名/発表者名: 宮城達博、田中茂、秀和泉、酒井規雄、他
  • 学会等名: 第85回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 京都市
  • 年月日: 20120314-16
• [学会発表] cAMPアナログの長期処置によるRN46A細胞におけるセロトニントランスポータ機能上昇の分子機構の解析 (2012)
  • 著者名/発表者名: 山本光、田中茂、関貴弘、秀和泉、酒井規雄
  • 学会等名: 第85回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 京都市
  • 年月日: 20120314-16
• [学会発表] シャペロン介在性オートファジーは低酸素ストレスによる神経細胞死に対し保護的に働く (2012)
  • 著者名/発表者名: 土肥栄祐、田中茂、関貴弘、宮城達弘、高橋哲也、秀和泉、松本昌泰、酒井規雄
  • 学会等名: 第85回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 京都市
  • 年月日: 20120314-16
• [学会発表] (2011)
  • 著者名/発表者名: Dohi, E., Hide, I., Sakai, N. et al
  • 学会等名: Contribution of chaperone-mediated autophagyto the survival of cells under hypoxic condition SFN meeting 2011
  • 発表場所: Washington DC(USA)
  • 年月日: 20111112-16
• [学会発表] (2011)
  • 著者名/発表者名: Tanaka, S., Hide, I., Sakai, N. et al
  • 学会等名: Involvement of GPR3 against apoptoticneuronal cell death during cerebellar development. SFN meeting 2011
  • 発表場所: Washington DC(USA)
  • 年月日: 20111112-16
• [学会発表] 低酸素環境下におけるシャペロン介在性オートファジーの役割 (2011)
  • 著者名/発表者名: 土肥栄佑、田中茂、秀和泉、酒井規雄、他
  • 学会等名: 第34回日本神経科学大会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 20110914-17
• [学会発表] GPR3は小脳発生過程の神経細胞死を修飾する (2011)
  • 著者名/発表者名: 田中茂、秀和泉、酒井規雄、他
  • 学会等名: 第34回日本神経科学大会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 20110914-17
• [学会発表] Toll-like receptor活性化ミクログリアからのTNF遊離におけるP2X7受容体の関与 (2011)
  • 著者名/発表者名: 藤原俊輔、秀和泉、酒井規雄、他
  • 学会等名: 第84回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 20110322-24
• [学会発表] 新規活性評価法を用いたシャペロン介在性オートファジー活性に対する脊髄小脳失調症14型(SCA14)の原因となる変異γPKCの影響 (2011)
  • 著者名/発表者名: 関貴弘、秀和泉、酒井規雄、他
  • 学会等名: 第84回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 20110322-24
• [学会発表] 脊髄小脳失調症14型(SCA14)の原因となる変異γPKCの細胞毒性に対するシャペロン介在性オートファジーの影響 (2011)
  • 著者名/発表者名: 隠地智也、他
  • 学会等名: 第84回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 20110322-24
• [学会発表] RN46A細胞においてcAMPアナログの長期暴露はセロトニントランスポーターの取り込み活性を上昇させる (2011)
  • 著者名/発表者名: 山本光、他
  • 学会等名: 第84回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 20110322-24
• [学会発表] プロテインキナーゼCのトランスロケーションと酵素活性に対するプロポフォールの効果 (2011)
  • 著者名/発表者名: 宮原岳史、関貴弘、秀和泉、酒井規雄、他
  • 学会等名: 第120回日本薬理学会近畿部会
  • 発表場所: 京都市
  • 年月日: 2011-11-11
• [学会発表] ケミカルシャペロンのセロトニントランスポーター機能に対する影響 (2011)
  • 著者名/発表者名: 山本光、他
  • 学会等名: 第54回日本神経化学会大会
  • 発表場所: 加賀市
  • 年月日: 2011-09-27
• [学会発表] ケミカルシャペロンがセロトニントランスポーター機能に及ぼす影響 (2011)
  • 著者名/発表者名: 酒井規雄他
  • 学会等名: 活性アミンに関するワークショップ
  • 発表場所: 徳島市
  • 年月日: 2011-08-11
• [学会発表] cAMPアナログ処置によるセロトニントランスポーター(SERT)の機能変化 (2011)
  • 著者名/発表者名: 山本光他
  • 学会等名: 活性アミンに関するワークショップ
  • 発表場所: 徳島市
  • 年月日: 2011-08-11
• [学会発表] セロトニントランスポーター機能に対するケミカルシャペロン4-phenylbutyrate(4-PBA)の効果 (2011)
  • 著者名/発表者名: 酒井規雄、藤原雅幸、山本光、田中茂、関貴弘、秀和泉、他
  • 学会等名: 第119回日本薬理学会近畿部会
  • 発表場所: 名古屋市
  • 年月日: 2011-07-08
• [学会発表] 遺伝性脊髄小脳失調症14型(SCA14)の発症原因となる変異γPKCの分解にオートファジーが関与する (2011)
  • 著者名/発表者名: 酒井規雄他
  • 学会等名: 第52回日本神経学会
  • 発表場所: 名古屋市
  • 年月日: 2011-05-19
• [学会発表] ケミカルシャペロン4-PhenylButylate(4-PBA)のセロトニントランスポーター機能に対する効果 (2011)
  • 著者名/発表者名: 藤原雅幸、他
  • 学会等名: 第84回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 横浜市
  • 年月日: 2011-03-22
• [学会発表] Toll-like receptor4および細胞外ATPによるミクログリアの細胞死/生存調節 (2010)
  • 著者名/発表者名: 原田佳奈、秀和泉他
  • 学会等名: 第38回薬物活性シンポジウム
  • 発表場所: 札幌市
  • 年月日: 20101111-12
• [学会発表] 脊髄小脳失調症14型(SCA14)の原因となる変異γPKCはheat shock cognateprotein70(Hsc70)と結合し、そのリソソームへのトランスロケーションに影響を及ぼすNeuro2010 (2010)
  • 著者名/発表者名: 関貴弘、他
  • 学会等名: 第53回日本神経化学会大会
  • 発表場所: 神戸市
  • 年月日: 20100902-04
• [学会発表] 神経細胞に発現するG蛋白共役型受容体GPR3の低酸素下における神経細胞生存への関与Neuro2010 (2010)
  • 著者名/発表者名: 田中茂、他
  • 学会等名: 第53回日本神経化学会大会
  • 発表場所: 神戸市
  • 年月日: 20100902-04
• [学会発表] Toll-like receptor4活性化ミクログリアの細胞死と生存の細胞外ATPによる調節Neuro2010 (2010)
  • 著者名/発表者名: 原田佳奈、秀和泉、他
  • 学会等名: 第53回日本神経化学会大会
  • 発表場所: 神戸市
  • 年月日: 20100802-04
• [学会発表] 脊髄小脳失調症14型(SCA14)の原因となる変異γPKCはheat shock cognateprotein70(Hsc70)と結合し (2010)
  • 著者名/発表者名: 関貴弘、他
  • 学会等名: そのリソソームへのトランスロケーションを抑制する
  • 発表場所: 神戸市
  • 年月日: 2010-12-07
• [学会発表] 神経細胞株におけるニコチン誘発PKCトランスロケーションの観察 (2010)
  • 著者名/発表者名: 酒井規雄、秀和泉他
  • 学会等名: 第118回日本薬理学会近畿部会
  • 発表場所: 大阪市
  • 年月日: 2010-11-19
• [学会発表] MutantγPKC causingspinocerebellar ataxia type 14(SCA14) preferably interacts with heat shock cognateprotein 70(Hsc70) and affects its translocationto lysosome Neuroscience (2010)
  • 著者名/発表者名: Seki, T., et al.
  • 学会等名: the 40th annualmeeting of the Society for Neuroscience
  • 発表場所: San Diego, USA
  • 年月日: 2010-11-14
• [学会発表] Neural expression ofG Protein-coupled receptors GPR3 modulatessurvival of cerebellar granular neurons under hypoxic conditions Neuroscience (2010)
  • 著者名/発表者名: Tanaka, S., et al.
  • 学会等名: the40th annual meeting of the Society for Neuroscience
  • 発表場所: San Diego, USA
  • 年月日: 2010-11-14
• [学会発表] 細胞外ATPによるリポポリサッカライド活性化ミクログリアの生存調 (2010)
  • 著者名/発表者名: 原田佳奈、秀和泉、他
  • 学会等名: 第83回日本薬理学会年会
  • 発表場所: 大阪市
  • 年月日: 2010-03-16
• [学会発表] 脊髄小脳変性症14型(SCA14)を引き起こす変異γPKCがシャペロン介在性オートファジーに及ぼす影響 (2009)
  • 著者名/発表者名: 関貴弘、他
  • 学会等名: 日本神経科学会
  • 発表場所: 名古屋市
  • 年月日: 20090916-18