研究概要 |
siRNA(short interfering RNA)による標的遺伝子発現抑制を基盤とした難治性疾患への治療応用が期待されているが、ある特異的な塩基配列モチーフ(Interferon-inducible sequence,IIS)を有するsiRNAが塩基配列特異的にIFN応答を起こすことが報告されており、未解決である。本課題はsiRNA-IIsをマウス個体に全身性に投与してもIFN応答が起きないような安全でかつ臨床応用可能なDrug delivery systemの開発を目指す。以下、本年度の成果を示す。 I 末梢血単核球細胞(Peripheral blood mononuclear cell,PBMC)におけるIFN応答 3種類のdelivery vehicle((1)アテロコラーゲン、(2)Invivofectamine、(3)高分子ポリマーPEI)を用いて、各siRNA-IIS複合体を作り、ヒト全血から単離したPBMCに添加した。(1)と(2)のvehicleでは、I型IFN誘導が起きたが、(1)のアテロコラーゲンvehicleではIFNが全く誘導されなかった。アテロコラーゲン・siRNA-IIS複合体がPBMCに取り込まれないため、IFN誘導が起きない事を証明した。対照的にInvivofectamine・siRNA-IIS複合体はPBMCに取り込まれた。 II 形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cell,pDC)におけるIFN応答 PBMC細胞のうち、pDCと呼ばれる樹状細胞がI型IFN応答を起こすため、Iと同様の実験をpDC(についても施行し、PBMCと同様の結果を示した。即ち、アテロコラーゲン・siRNA-IIS複合体のみがpDCに取り込まれないため、IFN誘導が起きない(IFN応答が回避できる)事を証明した。
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