研究課題
N-アシルエタノールアミン(NAE)は長鎖脂肪酸とエタノールアミンが縮合した一連の化合物であり、動物を含む自然界に普遍的に存在する。核内受容体PPARα等、いくつかの受容体に結合して種々の生物活性を示すが、生理的役割については不明な点が多い。NAEの体内レベルは酵素的に調節されていて炎症時や組織傷害時に著しく増加する。本研究では、NAEの生合成・分解に関与する酵素について未解明の問題に取組み、NAEの生理的及び病態生理学的意義を明らかにすることを目的とした。N-アシルトランスフェラーゼはホスファチジルエタノールアミン(PE)のアミノ基に別のグリセロリン脂質分子からアシル基を転移することによりNAEの前駆体であるN-アシル-PE(NAPE)を生成する酵素である。我々はこれまでに「HRASLSがん抑制遺伝子ファミリー」に属する複数のタンパク質がN-アシルトランスフェラーゼを有することを報告してきたが、同じファミリーに属するA-C1についても同酵素活性を示すことを見出した。また、NAPEからNAEを遊離するNAPE水解ホスホリパーゼD(NAPE-PLD)の遺伝子欠損マウスを用いて脳組織の脂質分析及び酵素活性測定を行い、NAPE-PLD非依存的NAE生成経路の中間代謝物であるリゾNAPEやグリセロホスホNAEが脳内に蓄積していることや、NAPEのみならずN-アシル化プラスマローゲン型エタノールアミンリン脂質(N-アシルプラスメニルエタノールアミン)からもNAEがNAPE-PLD非依存的に生存することを示した。さらに、我々以前見出したNAE水解酸性アミダーゼの内因性活性化因子を検討し、コリンまたはエタノールアミン含有リン脂質及び還元型リポ酸(ジヒドロリポ酸)が濃度依存的に同酵素のパルミトイルエタノールアミド水解活性を数倍増加させることを見出した。
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