研究概要 |
1.ストレス応答遺伝子発現におけるElongin A複合体の役割の解析 Doxorubicin処理によるDNA傷害やheat shock等の刺激により、Elongin AがATF3、HSP70等のストレス応答遺伝子の転写領域(プロモーター部位からコーディング領域、3'非翻訳領域にかけて)にリクルートされ、RNAポリメラーゼIIと協働してこれら遺伝子の発現誘導を制御することがElongin AとRNAポリメラーゼII (total pol II、CTD-Ser2リン酸化型pol IIおよびCTD-Ser5リン酸化型pol II)に対する抗体を用いたクロマチン免疫沈降(ChIP)解析により明らかとなった。尚、当該機能にはElongin Aのもつ伸長促進活性が重要であり、ユビキチンリガーゼ(E3)活性は不要であることが判明した(Kawauchi J, et al.投稿準備中)。 2.Elongin Aの自己ユビキチン化部位の決定 LC-MS/MSを用いてElongin Aの自己ユビキチン化部位について解析した結果、Elongin Aの270番目のアミノ酸のLysine残基が候補の1つとして同定された。しかし、今回の解析では、試料に添加した界面活性剤NP40がペプチドのイオン化を抑制したと考えられ、Elongin A配列のcoverageが十分ではなかった。NP40未添加あるいはbeta-octylglucoside等、他の界面活性剤を添加して試料を調製し、質量分析に供する必要があると考えられた。
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