研究課題
E-カドヘリンは細胞間の接着分子で、上皮細胞では粗面小胞体で合成された後、側面膜領域に輸送されて、アドヘレンスジャンクションと呼ばれる接着装置を形成する。β-カテニンと結合しないとE-カドヘリンは細胞表面に輸送されなくなる。カドヘリンはβ-カテニンを介してα-カテニンと複合体を作るのであるが、E-カドヘリンをα-カテニンとのキメラ分子にしてやると、輸送されるようになることが昨年度にわかった。これまで、研究代表者らはAP-1B複合体あるいはAP-4複合体といったクラスリンアダプター分子を中心に、多様な手法(タグを付けたアダプター分子とE-カドヘリンの共発現後の免疫沈降反応、GST融合タンパク質として発現させたE-カドヘリンの細胞質ドメインを用いたプルダウンアッセイ、two-hybrid法を中心にした新規のアダプター分子群の検索等)を用いてE-カドヘリンの細胞質ドメインに結合するアダプター分子の探索を行ってきたが、目的の分子には到達できずにいた。E-カドヘリンをα-カテニンとのキメラ分子にしてやると、細胞表面に輸送されるようになるという予想外の結果は、カドヘリンの細胞表面への輸送に関わるアダプター分子は、カドヘリンの細胞質ドメインに直接結合するのではなく、α-カテニンに結合してカドヘリンの輸送を制御している可能性を強く示唆している。したがって、今後はこの方向の研究を早急に開始したいと考えている。
すべて 2011 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)
Mol.Biol.Cell
巻: 22 ページ: 3103-3119
http://kuris.cc.kagoshima-u.ac.jp
http://www2.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~mdio/list/k/k2/index.html