研究概要 |
インターロイキン-6 (IL-6), IL-11, LIFといったIL-6ファミリーのサイトカインは, シグナル伝達性の受容体分子gp130を通じて複数の細胞内シグナル伝達系を活性化する. gp130に由来するシグナルは, 標的細胞の分化・増殖・死などの細胞運命の決定において重要な働きを担っている. gp130受容体の活性化がヒト正常二倍体細胞を早期の細胞老化に導くことを明らかにした. 正常二倍体細胞細胞においてgp130シグナル活性化すると, 刺激8日目以降で, 老化関連ベータガラクトシダーゼ陽性細胞の増加・活性酸素種の増加・炎症性サイトカインの増加といった各種の老化マーカーの誘導を伴う細胞老化が認められた. またこの細胞老化誘導はgp130シグナル系における主要なシグナル伝達分子であるStat3に依存していた. gp130刺激で産生される細胞老化誘導性の液性因子を調べたところ, IGFBP5の関与が示唆された. gp130シグナル誘導性のIGFBP5の発現はStat3に依存していた. IGFBP5をRNA干渉法でノックダウンしたところgp130刺激依存的な老化関連ベータガラクトシダーゼの活性の上昇, 活性酸素種, 炎症性サイトカインの産生の減弱が認められた. これらのことより, gp130シグナル誘導性の早期細胞老化は活性化されたStat3の下流でIGFBP5が働き引き続き活性酸素種の産生といった老化誘導に伴うカスケードを引き起こし最終的な老化に至っているものと考えられた.
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