研究課題/領域番号 |
21590318
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
大根田 絹子 高崎健康福祉大学, 薬学部, 教授 (50323291)
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研究分担者 |
石嶋 康史 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助教 (10433640)
大森 慎也 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助手 (10509194)
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キーワード | 細胞分化 / 転写因子 / 遺伝子発現制御 / マスト細胞 |
研究概要 |
Zinc finger型転写因子GATA-1は代表的な細胞系列特異的な転写因子の一つであり、限られた血球系細胞系列に特異的に発現している。GATA-1は赤血球と巨核球の分化に必須であることが明らかにされているが、マスト細胞におけるGATA-1の機能は十分に解明されていない。本研究は、成熟マスト細胞におけるGATA-1の機能を明らかにするとともに、複数の転写因子の相互作用によるマスト細胞の機能制御を解明することを目的として行っている。 本研究では当初マスト細胞特異的に誘導的にCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニック(TG)マウスの作成を試みた(MCP-9Cre-ER^<T2>マウス)。複数のラインを作成し解析したが、用いた制御領域ではマスト細胞特異的にTGを発現するマウスを得ることができなかった。そこで、ほぼすべての細胞系列で誘導的にCreを発現するROSA26-Cre-ER^<T2> TGマウスを条件付Gata1ノックアウトマウスと交配し、骨髄マスト細胞(BMMC)を調整後、細胞培養時に4-ヒドロキシタモキシフェンを添加してCreを誘導しGata1欠失BMMCを作成することとした。Gata1欠失BMMCについては現在解析中である。 また、これに先立って、野生型BMMCにおけるGATA1の発現制御様式について、赤血球と比較しながら解析した。GATA1mRNAおよびタンパク質の量は、BMMCでは赤血球と比較して有意に低いレベルにあった。また、赤血球では血球特異的エンハンサーのGATAボックスにGATA1自身が結合する自律的制御が重要であるが、BMMCではこの領域へのGATA1及びGATA2の結合は観察されなかった。さらに、赤血球ではクロマチン活性化状態を示すヒストンH4のアセチル化が観察されたのに対し、マスト細胞では不活性化状態を示すヒストンH3K27のトリメチル化が観察された。これらの結果から、BMMCにおけるGata1遺伝子の発現制御様式は赤血球のそれとは大きく異なっていると考えられた。
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