研究課題
Zinc finger型転写因子GATA1は代表的な細胞系列特異的な転写因子の一つであり、限られた血球系細胞系列に特異的に発現している。GATA1は赤血球と巨核球の分化に必須であることが明らかにされているが、マスト細胞におけるGATA-1の機能は十分に解明されていない。本研究は、成熟マスト細胞におけるGATA-1の機能を明らかにするとともに、複数の転写因子の相互作用によるマスト細胞の機能制御を解明することを目的として行っている。本研究では、ほぼすべての細胞系列で誘導的にCreを発現するROSA26-Cre-ER^<T2> TGマウスを条件付Gata1ノックアウトマウスと交配し、骨髄マスト細胞(BMMC)を調整後、細胞培養時に4-ヒドロキシタモキシフェン(4-OHT)を添加してCreを誘導しGata1欠失BMMCを作成することとした。その結果、4-OHT添加後の細胞数は、GATA1欠失BMMCで野生型BMMCと較べて有意に少なく、TUNEL染色等でアポトーシスの増加を示した。しかしながら、ROSA26-Cre-ER^<T2> TGマウスにおいても同様の傾向が認められたため、現在増殖障害とアポトーシスがGATA1の欠失によるものかどうか確認している。これとは別に、本研究では、マスト細胞株(RBL2H3)におけるGATA因子の標的としてPhospholipase C_γ 1(PLCγ1)を見出した。GATA1とGATA2は、PLCγ1の発現を調節することによって、RBL2H3細胞のIgE受容体刺激を介した脱顆粒に関与していることを示唆する結果を得た(投稿中)。
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