研究概要 |
バンド3タンパク質が媒介する陰イオン透過の分子機序解明を目的として、電子線構造解析・X線構造解析によるバンド3タンパク質の膜内貫通ペプチド領域の相互位置決定を目的として研究計画を申請した。本研究期間に目的以上の成果を上げることができた。その成果を下記に箇条書きに列挙する。 1.赤血球膜の外側から共有結合してバンド3を固定化するイオン輸送阻害剤(H2DIDS)を付加してバンド3の安定化を試み、良質なバンド3の二次元結晶を得ることができ、極低温(-269℃)で結晶を観察することができる電子顕微鏡を用いることにより、これまで実現できなかった7.5Åという分解能で立体構造を解析することができ、膜内貫通ペプチド領域の相互位置を決定した(発表論文:Yamaguchi, T. et al. J. Struc. Biol. 169, 406-412(2010); Yamaguchi, T. et al. J. Mol. Biol. 397, 179-189(2010))。 2.1.と同様な処理をしたバンド3タンパク質の三次元結晶の作製に成功し、高分解のでの解析ができ、現在、論文投稿準備中である。 3.上記二つの成果から、申請目的"バンド3タンパク質の膜内貫通ペプチド領域の相互位置決定"は完全に達成できた。これからは、さらに詳細な構造解析に励み、"バンド3タンパク質が媒介する陰イオン透過の分子機序解明"を目指す。
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