研究課題
生体フロントラインの防御機能の全容を明らかにして、その機能破綻により発症するがん、炎症性腸疾患などに対する新しい予防、診断と治療法開発へ繋げる事を目的として、平成21年度は2項目について下記の成果を上げた。【1】ABCB1欠損マウスの分子病理解析と疾患発症メカニズムの解明:ABCB1欠損マウスでは一定のサイズ以上の腫瘍が激減することを明らかにし、ABCB1が増殖の促進やアポトーシスの抑制などの特定のステップに関与することを示唆した。網羅的遺伝子発現プロファイルの解析から、TGF-β、TIMP1やセラミド合成経路に加え、未知の遺伝子群が標的ステップであることをつきとめ、抗がん剤感受性因子と既知のがん増殖関連遺伝子に加えて新しいがん治療の標的を提示できる可能性が得られた。【2】相互作用タンパク質の同定と機能修飾の解明:生体膜上微細環境においてABCトランスポーターと協調して細胞死や組織構築に関与、実行しているタンパク質群を同定・単離し、結合膜タンパク質による細胞内局在制御と機能修飾の実体を把握するために、ABCC2を対象としてスプリット・ユビキチン法を計画した。酵母菌内でヒトABCC2を発現させることは極めて難しいことが明らかになったが、(1)酵母の破砕とタンパク質抽出条件を検討することにより極微量の発現クローンの検出系開発に成功し、(2)bait構築体の安定発現株を樹立したのちpreyライブラリーを導入することでヒトABCC2発現の難しさを克服した。さらに、(3)cDNAライブラリー導入後、段階的に選択マーカーを増やすことにより、一段階では得られない「弱い相互作用」を検出できることを明らかにし、スクリーニングを本格化できる系が整った。
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PLoS Genet. 5
ページ: e1000712
Int.J.Urol. 16
ページ: 639-646
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