研究概要 |
MORC3は、よく保存されたGHL(Gyrase B, Hsp90, MutL)-ATPase domain, Zinc-finger type CW domain, Coiled-coil domainをもつ事を特徴とする4種類のMORCファミリーのうちの1つである。急性前骨髄球性白血病(APL)では、PML-RARα融合遺伝子が形成される事により、核内構造体であるPMLボディが破壊されている。正常細胞でPMLボディに局在可するMORC3は、APL細胞では、MORC3による核内ボディ形成は破壊されていたが、PML欠損細胞では、MORC3は、核内ボディを形成していた。また、MORC3欠損マウスは、著しい造血分化に異常を持つ事より、APL発症に、MORC3による核内ボディの破壊が関与している可能性がある。それ故、我々は、MORC3のPMLボディ局在機構を解析している。MORC3は、そのATPaseドメインへのATPの結合により、MORC3核内ボディを形成し、MORC3は、5カ所のSUMO化サイトをもち、そのMORC3のSUMOとPMLのSIMサイトとの相互作用により、MORC3は、PMLボディに局在する事がわかった。実際、SUMO化に関わるUbc9をノックダウンする事により、MORC3とPMLは、異なる核内ボディを形成した。た、多くのPMLボディ局在蛋白とは異なり、PMLのSUMO化は、MORC3-PMLの相互作用には、関与していなかった。しかし、PML-RARαは、SIMサイトを含んでおらず、APLにおけるMORC3の破壊には、異なるメカニズムの関与が考えられる。今後、そのメカニズムを解明し、APL発症や、造血細胞分化におけるMORC3の機能を解明したい。
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