研究概要 |
Auroraなどの中心体タンパク質のRNA干渉により、紡錘体の異常と細胞死が起こるが、その細胞死過程の紡錘体形態やシグナル伝達(p53,Caspase,BubR1,Mad2など)を解析した(論文執筆中)。また、AuroraとCDKの阻害剤であるJNJ-7706621の細胞分裂とチェックポイントへの影響を解析した。JNJ-7706621は、細胞周期をG1とG2期で停止させるが、高濃度では細胞死も引き起こした。また、JNJ-7706621を作用させると、ノコダゾールによる紡錘体チェックポイントが解除され、細胞質分裂を行わずにG1期に移行する。この時、チェックポイントタンパク質、PLK1、細胞質分裂制御タンパク質の細胞内局在に異常がみられた(論文投稿中)。また、Aurora Bの選択的阻害剤AZD1152のバーキットリンパ腫およびホジキンリンパ腫への影響を検討した。AZD1152は細胞増殖を阻害し、4n以上のDNAを持つ細胞が見られ、細胞死が誘導された。マウスモデルにおいてもがん細胞の増殖抑制が観察された(Biochemical Pharmacology)。さらに、CHFRと相同生のあるRNF8とPLK1の発現量の関係について、がん細胞と正常細胞を比較した。RNF8は、がん細胞では発現が抑さえられていたが、PLK1は逆にがん細胞で過剰発現が見られた(論文執筆中)。 Auroraは細胞周期と発がんの重要な制御タンパク質であり、現在多くのAurora阻害剤が開発され、抗がん剤としてしての効果が検討されている。今回の結果は細胞死、細胞分裂、チェックポイントメカニズムの解明と将来のがん治療において重要な意味を持つと考えられる。
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