研究課題/領域番号 |
21590332
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
近藤 孝晴 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (20135388)
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研究分担者 |
石黒 洋 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (90303651)
山本 明子 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 助教 (60402385)
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キーワード | 嚢胞性線維症 / 膵導管細胞 / 重炭酸イオン輸送 / CFTR / Na^+-H^+exchange / 単離小葉間膵管 / ΔFマウス / 管腔内pH |
研究概要 |
嚢胞性線維症(cystic fibrosis : CF)およびその関連疾患では、cystic fibrosis transmembrane conductance regulator(CFTR)の遺伝子変異による機能異常により、上皮膜組織の管腔内液が酸性化する。本年度は、CFおよび慢性膵炎において、膵導管細胞のHCO_3^-分泌が障害され膵液が酸性化するメカニズムを明らかにするために、CFのモデル動物であるΔFマウスの膵臓から小膵管を単離してH^+/HCO_3^-輸送を検討した。実体顕微鏡下で単離した小葉間膵管(径~100μm)は、一昼夜培養すると両端が自然に閉じて、内腔が導管細胞上皮に囲まれた閉鎖腔となる。この膵管をHCO_3^--CO_2緩衝液(pH7.4)で37℃で表層灌流すると、cAMP最大刺激下の溶液分泌は、ΔFマウスの単離膵管では完全に消失していた。膵管をmicropunctureして細胞膜透過性の無いpH感受性蛍光色素BCECF-dextranを管腔内に注入し、管腔内pHを測定したところ、コントロールでは8.0前後であったのに対し、ΔFマウスの膵管では7.0以下に酸性化していた。管腔をmicroperfusionして表層とは別個に灌流し、BCECF-AMを用いて細胞内pHを測定し、管腔膜のNa^+-H^+exchange(NHE)活性を比較した。ΔFマウスの膵管ではNHE活性が高く、cAMPの投与によって活性が増強された。上皮膜組織の管腔膜では、CFTRとNHEが複合体として機能することにより、管腔内液のpHを最適な状態に保っていると考えられる。
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