研究課題/領域番号 |
21590332
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
近藤 孝晴 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (20135388)
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研究分担者 |
石黒 洋 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (90303651)
山本 明子 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (60402385)
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キーワード | CFTR / NHE3 / 嚢胞性線維症 / 膵導管細胞 / HCO_3^-分泌 / シミュレーションモデル / SLC26A6 / AE2 |
研究概要 |
嚢胞性線維症(cystic fibrosis: CF)およびその関連疾患では、cystic fibrosis transmembrane conductance regulator (CFTR)の遺伝子変異による機能異常により、上皮膜組織の管腔内液が粘稠化・酸性化する。これには、CFTRとH^+/HCO_3^-トランスポータ(Na^+/H^+exchanger: NHE3、Cl^--HCO_3 exchanger: SLC26A6)の機能連関の異常が関与していると考えられている。膵液は、140mMもの高濃度のHCO_3^-を含む。CFではHCO_3分泌が障害され、膵管が粘稠な膵液で閉塞する。本年度は、膵導管細胞のHCO_3^-分泌メカニズムを明らかにするために、細胞膜上の各輸送担体(CFTR、NHE3、SLC26A6を含む)によるイオン輸送を数式化し、シミュレーションモデルを作成した。ソフトウェアにはMATLAB/Simulinkを用い、各輸送担体の輸送速度式は、電気化学的勾配と回路網熱力学を用いて導出した。解離定数、反応速度定数などは、モルモット単離膵管の管腔灌流実験をシミュレーションし、実験値と比較して決定した。この定数を用いて、イオンと水の輸送によって管腔(膵液中)のイオン組成が変化する分泌モデルを作成した。K^+チャネル、NBCl Na^+-HCO_3^-cotransporter、CFTR、SLC26A6の透過係数を上げ、AE2 Cl^--HCO3_^- exchangerの透過係数を下げることにより、140mMのHCO_^-3を含む2.8nl/min mm^2(単位上皮膜面積当たり)の膵液分泌を再現することができた。CFTRアニオンチャネルのHCO_3^-/Cl^-透過性比を、1.0、0.4(標準モデル)、あるいは0.1とすると、膵液のHCO_-^-濃度はそれぞれ144、140、126mM、膵液分泌速度は3.8、2.8、1.5nl/min mm^2であった。
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