研究代表者ははショウジョウバエを用いた遣伝学的スクリーニングにより、分泌型の成長因子Wnt蛋白質を介するシグナル伝達経路の新たな制御因子と考えられるE3ユビキチンリガーゼGoliathを同定した。本研究では、Goliathの機能を明らかにすることにより、このシグナル伝達経路の制御機構およびその異常によって引き起こされる様々な病態の理解を深めることを目的とする。 本年度は、 1.Goliath E3ユビキチンリガーゼのRING fingerドメインと物理的に結合する分子E2 ubiquitin conjugating enzymeについて、in vitroおよびin vivoにおける両者の結合の確認を行った。 2.Goliath E3ユビキチンリガーゼの基質の同定に関しては、GoliathのPA(Protease-associated)ドメインと物理的に結合する分子をYeast two-hybrid systemによって探索し、これまでにGoliathの基質と考えられるいくつかのの候補の絞り込みに成功している。今後、これらの基質候補の中から真の基質を同定し、その機能を明らかにしたいと考えている。 3.個体レベルからGoliathの生理的機能を明らかにするため、homologous recombinationの手法を用いることによって、ショウジョウバエGoliath遺伝子を欠失したノックアウトフライの作製に成功した。現在、このノックアウトフライの示す表現型を解析することにより、個体レベルにおけるGoliath遺伝子の機能を解析中である。
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