研究課題
これまでにC57BL/6背景乳腺特異的GANP欠損マウス(wap cre ganp^<f1>/f1マウス)を作成したが、平成23年度も引き続き乳癌の自然発症を検討し、50週齢を過ぎると約36%のマウスで見られること、発症したマウスの約80%で肺転移を起こすことを確定した。マウス乳癌検体から複数の細胞株を樹立し、染色体解析を行うと染色体切断を高頻度に認め、染色体が高度に不安定になっていることが示された。さらにep-cre-ganpf1/f1マウスにおける乳腺組織の異常の有無を検討した。出産後2週間の乳腺組織を摘出し、組織学的解析を行ったところ、wap-cre -ganp^<f1>/f1マウスの乳腺組織は野生型マウスに比べて管腔形成が障害され乳汁分泌も低下していることが判明した。この組織異常は乳腺特異的Brca1欠損マウスの乳腺組織と類似しており、GANPもBrcal同様乳腺組織発達に重要な分子であることが示唆された。昨年度までの解析よりGANP発現低下による乳癌発症はmRNA核外輸送障害によるDNA傷害とリンクすることが考えられている。出芽酵母においてはSac3-Thp1-Semlは複合体を形成し、どの分子の発現が低下しても高度にmRNA核外輸送が障害される。一方、哺乳動物の相同分子GANP-Pcid2-Dss1は複合体を形成することが報告されているが、各々の遺伝子ノックダウンでは核外輸送が障害される遺伝子に選択性があることを今年度マイクロアレイ解析により示した。哺乳動物においてこれらの分子がどのようにmRNA核外輸送に関与するのかを解明することが、遺伝子転写に共役したDNA傷害の意義を理解する上で重要となる。
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Immunobiology
巻: (印刷中)
Apoptosis
Cancer
巻: 117 ページ: 3393-3403
Scandinavian Journal of Immunology
巻: 73 ページ: 520-526
http://www.k-immu.jp/ja/