研究課題
メイラード反応前期生成物の一つであるヘモグロビンAlcが血糖コントロールのマーカーとして臨床的に測定されることから、血中や尿中のメイラード反応後期生成物(AGEs)を測定して糖尿病合併症等のマーカーとして応用する試みがなされている。しかし我々は、アルカリや加熱処理を伴う既存のAGEs測定法では、試料の前処理に伴って人工的に生成したAGEsを測定している危険性を見出している。本年度はAGEs構造のうち、N^ω-carboxymethylarginine(CMA)、ペントシジン(Pent)の測定系を確立し、生体における意義を検討した。生体におけるCMAの意義:CMAがコラーゲン特異的に生成するメカニズムを解析する目的でCMAが生成するアミノ酸配列の同定を行った。ウシのTypeIIIコラーゲンをglyoxalでAGEs化した後、トリプシン消化してモノクローナル抗CMA抗体アフィニティカラムにかけた。吸着画分を回収しイオントラップLC-MS解析によってCMA化部位の同定を行った。さらに、CMA化部位の確認実験として、CMAが同定された配列のペプチドを合成した後、riboseで修飾しCMA生成を確認した。その結果、LC-MS解析よりコラーゲン上のCMA化部位のペプチド配列が数種検出され、その中には細胞接着に関与するインテグリンが結合する配列もあった。Pentの正確な測定法の確立:Pent値は、血清クレアチニン値がほとんど上昇していない腎症の発症早期から上昇するため、早期腎症の診断マーカーとしての可能性が報告されているが、現在の測定法は加熱処理が行われている。血清試料は加熱に伴いPent含量が増加するが塩酸の添加によって抑制され、正確な血中Pentの測定が可能となることが明らかとなった。
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