昨年度においてはTysnd1欠損マウスの肝臓を用いて超長鎖脂肪酸のβ-酸化活性を測定し、Tysnd1の欠損により超長鎖脂肪酸のβ-酸化活性が低下する事を証明した。またTysndl欠損マウスおよび過剰発現マウスでの発現量の違いを発現アレイを用いて解析を行った.さらに、Tysnd1の基質となる酵素の同定をさらに行い、これまでに証明した4つの酵素以外にもTysnd1によって切断される酵素を同定した。 本年度は、Tysnd1欠損によるペルオキシソームタンパク質のプロセッシング機能の欠損が生体全体に及ぼす影響を調べる為、エネルギー代謝能、耐糖能、インスリン抵抗性の測定を行った。測定は、基本食または高脂肪食を野生型、Tysnd1欠損マウスそれぞれに与えて行った。呼気中の酸素と二酸化炭素の容積を測定し、呼吸商の算出を行ったが大きな差は見られなかった。耐糖能、インスリン抵抗性はTysndl欠損マウスと野生型マウスに有意差は見られなかったが、平均値ではTysnd1欠損マウスの方がインスリン抵抗性が高かった。また、Tysnd1欠損マウスの雄は不妊であったため、精巣、精巣上体、精子の詳細解析を行った。その結果、精子形態の異常がみられ、形態異常に少なからず影響があると思われる一部の分子種の脂質含有量の低下が見られた。
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