研究概要 |
これまでの研究から、カルタゲナー症候群原因遺伝子(DNAH5,H11)及び ネフロンろう候補遺伝子(NPHP4)のサイレンシング細胞では、イオンチャンネルの活性化に異常が起こっていることが示唆される結果が得られているため、電気生理学的研究によって、その原因を調べた。 その結果、 (1)DNAH5,H11のサイレンシング細胞が持続的な脱分極反応(繊毛打逆転)を起こす現象は、Caチャンネルの活性化の異常によるものではなく、外腕ダイニン軽鎖の欠失による脱分極反応抑制機構の欠損によるものである事がわかった。 (2)NPHP4相同遺伝子をサイレンシングした細胞では,機械刺激に対して過分極反応を起こしやすくなる。しかし、その原因は、膜の興奮が起こりやすくなっているのではなく、細胞内cAMP濃度が上昇しやすいのか、分解が起こりやすくなっているということがわかった。 一方、リン酸化や脱リン酸化によって繊毛打制御を調節すると考えられている酵素などの遺伝子(以下の一覧)のノックダウン効果を調べたところ、顕著な表現形質の変化を観察することができなかった。これらの遺伝子のRNAiサイレンシングでは、分解されないmRNAがわずかに存在するため機能的な酵素が発現したのではないかと考えられる。 繊毛打調節に関与することが知られている酵素の遺伝子 酵素 Protein kinase: PKA, PKG, CaMKII Protein phosphatase: PP1, PP2A cAMP 関連: Phosphodiesterase, Adenylate cyclase
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