昨年度までに、1.TTR遺伝子及びRBP遺伝子がともにヒト化されたヘテロマウス(Rbp^<hRBP/+>;Ttr^<hVal30/+>及びRbp^<hRBP/+>;Ttr^<hMet30/+>)を得た。そこで、今年度はそれらの交配により、TTR遺伝子及びRBP遺伝子がともにヒト化されたホモマウス(Rbp^<hRBP/hRBP>;Ttr^<hV30/hV30>及びRbp^<hRBP/hRBP>;Ttr^<hMet30/hMet30>)を作製した。2.TTR遺伝子のみがヒト化されたマウス、RBP遺伝子のみがヒト化されたマウス、TTR遺伝子及びRBP遺伝子がともにヒト化されたマウスを用いて、分子生物学的・生化学的解析を行った。具体的には、 1.TTR遺伝子及びRBP遺伝子がともにヒト化されたホモマウスの作製 TTR遺伝子及びRBP遺伝子がともにヒト化されたヘテロマウス(Rbp^<hRBP/+>;Ttr^<hVal30/+>及びRbp^<hRBP/+>;Ttr^<hMet30/+>)同士を交配し、PCR法により子孫から、両遺伝子ともにヒト化されたホモマウス(Rbp^<hRBP/hRBP>;Ttr^<hV30/hV30>及びRbp^<hRBP/hRBP>;Ttr^<hMet30/hMet30>)を選別した。 2.分子生物学的・生化学的解析 (1)RBP遺伝子のみがヒト化されたマウスを用いて、分子生物学的・生化学的解析 マウスRbpとヒトRbp両方の遺伝子を持つヘテロマウス(Rbp^<+/hRbp>)と、ヒトRBPのみを持つホモマウス(Rbp^<hRbp/hRbp>)を比較すると、(1)Northern blot法の解析により、肝臓でのヒトRBPのmRNAの発現量は、予想通りホモ(Rbp^<hRbp/hRbp>)はヘテロ(Rbp^<+/hRbp>)の2倍である。(2)Western blot法の解析により、血清でのヒトRBPのタンパクの発現量は、予想通りホモ(Rbp^hRbp/hRbp>)はヘテロ(Rbp^<+/hRbp>)の2倍である。(3)HPLC法の解析により、血中のレチノールの量は、予想通りホモ(Rbp^<hRbp/hRbp>)はヘテロ(Rbp^<+/hRbp>)の2倍である。 (2)TTR遺伝子のみがヒト化されたマウス、TTR遺伝子及びRBP遺伝子がともにヒト化されたマウスを用いて、分子生物学的・生化学的解析 Ttr遺伝子のみがヒト化されたホモマウス(Ttr^<hVal30/hVal30>)、TTR遺伝子及びRBP遺伝子がともにヒト化されたホモマウス(Rbp^<hRBP/hRBP>;Ttr^<hV30/hV30>及びRbp^<hRBP/hRBP>;Ttr^<hMet30/hMet30>)を比較すると、予想外に血清でのヒトTTRタンパクの発現量は変わらなかった。その理由は、不明である。
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