研究課題/領域番号 |
21590362
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
柳 久美子 琉球大学, 医学研究科, 助教 (90294701)
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研究分担者 |
要 匡 琉球大学, 医学研究科, 准教授 (40264288)
成富 研二 琉球大学, 医学研究科, 教授 (20101446)
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キーワード | 分子遺伝学 / PCR-高精度融解曲線分析法 / 遺伝子診断 / 自閉症スペクトラム |
研究概要 |
本研究課題では自閉症スペクトラム感受性遺伝子の遺伝子変異(疾患特異的な変異)/多型(疾患非特異的な変異)の有無を迅速かつ安価、正確に検出する解析系の確立を試た。自閉症スペクトラムとは自閉症やアスペルガー症候群、ADHD(注意欠陥多動性障害)などの疾患に共通に認められる思考や想像力、コミュニケーションの領域における障害をさし、病因に遺伝的背景が強く示唆されている。これまで複数の染色体領域および遺伝子が自閉症スペクトラムに感受性があると報告されてきたが、個別的、散発的に解析されているものがほとんどで、臨床症状と感受性遺伝子変異相互の関連については不明な点が多く、遺伝子情報として不十分といわざるをえなかった。 1.研究成果:PCR-高精度融解曲線解(PCR-HRM)分析法を改善し、自閉症感受性遺伝子AUTSX1(NLGN3)、AUTSX2(NLGN4X)、AUTS1(RELN)、AUTS9(MET)の至適解析条件を確立した。自閉症スペクトラム患者62検体および健常者200検体、EBVトランスフォームB細胞60検体で検索したところ、日本人患者特有の新規の遺伝子変異を多数同定することができた(コード領域の1塩基置換を13個、そのうちアミノ酸の変化を伴う変異は6個;研究成果については現在投稿中)。 2.今後の展開:2012年の時点で、より網羅的な迅速な遺伝子解析法として、次世代シークエンサーが比較的手軽に用いられてくるようになってきた。しかしながら、次世代シークエンサーから得られる膨大な量のデータは、最終的には従来のサンガー法による確認が必須であり律速段階になっている。本研究で示されたように、PCR-高精度融解曲線解は遺伝子変異の有無を迅速かつ安価、正確に検出することが可能である。次世代シークエンサーとサンガー法による解析の間に介在させることによって、より迅速な遺伝子変異解析に貢献する。
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