初年度は、複数のtrophoblast stem細胞株を、FGF4存在下に未分化な状態を維持したまま培養し、定法に従ってtotal RNAを回収した。これらの細胞が未分化状態を維持していることは、total RNAを用いてEomes遺伝子等の未分化絨毛細胞の特異的マーカーの発現を確認し、評価した。未分化抽出したtotal RNAを、更にカラム精製によって、分子量200mer以下のRNAを濃縮し、その後にポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、分子マーカーを目安にゲルの切り出しを行い、高品質の20-40merの分子量のRNA画分を抽出した。抽出したsmall RNA分子に対して、特異的配列を有するアダプターをライゲーション反応で付加し、アダプターの特異的配列に対するプライマーを用い、逆転写反応とPCRによりsmall RNA分子を増幅した。増幅したsmall RNA分子のcDNAをクローニングし、未分化なtrophoblast stem細胞が有するsmall RNA分子の配列を網羅的に解析施行中である。現在までに、4細胞株から、合計約20万クローンの配列情報を取得した。また、上記の網羅的small RNA分子配列解析手法と並行し、抽出したtotal RNAを用い、未分化なtrophoblast stem細胞に特異的なmiRNAの同定を、DNAマイクロアレイの技術を用いて開始している。
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