研究課題
本研究では、腎癌の予後を規定する転移に関わる分子の同定をめざし、腎細胞癌の手術時採取された原発巣と再発転移巣のゲノム異常(ゲノムコピー数異常とゲノムの異常メチル化)を解析し比較することで再発(転移)に関わる遺伝子異常を同定することを目的としている。(1)腎細胞癌の原発巣、転移巣のゲノム異常(コピー数異常)を網羅的に解析し、原発巣と転移巣の違いを明らかにしている。今回、腎癌細胞株について、原発巣ならびに転移巣で見いだされたゲノム異常を有する細胞株を特定した。(2)ゲノムの高度メチル化領域の網羅的解析から絞り込まれた抽出された高度メチル化候補遺伝子について、腎癌症例のゲノムDNAをbisulfite処理し、それぞれDNA modification kitを用いたメチル化特異的PCR法によって、正常部分と癌部のゲノムでのメチル化の有無を確認した。(3)さらに、Agilent社製の4x44K発現解析用アレイを用いて腎癌細胞株におけるトランスクリプトーム解析を行い、ゲノムコピー数異常を認めた領域において、発現上昇あるいは発現低下している遺伝子を抽出した。これらの結果から、chromosome 9pの欠失がみられる症例ほど、再発(転移)までの期間が短いこと、9pに存在する遺伝子が、再発(転移)にとって重要である可能性が示唆された。今後、これらの解析により抽出された遺伝子の発現変化をリアルタイムPCRで確認し、候補遺伝子の機能解析を行うことで、再発(転移)に関わる遺伝子異常の同定とそのメカニズムを解明する予定である。
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Journal of Pathology
巻: 221 ページ: 96-105
Cancer Research
巻: 70 ページ: 2339-2349