研究課題
本研究では、腎癌の予後を規定する転移に関わる分子の同定をめざし、腎細胞癌の手術時採取された原発巣と再発転移巣のゲノム異常(ゲノムコピー数異常とゲノムの異常メチル化)を解析し比較することで再発(転移)に関わる遺伝子異常を同定することを目的としている。(1)腎細胞癌の原発巣、転移巣のゲノム異常(コピー数異常)を網羅的に解析し、原発巣と転移巣の違いを明らかにした。その結果、chromosome 9pの欠失がみられる症例ほど、再発(転移)までの期間が短いこと、9pに存在する遺伝子が、再発(転移)にとって重要である可能性が示唆された。そこで、特に有意差の著しかった9p24.1-p13.3に存在する58個の遺伝子について、新たに30症例の腎細胞癌の手術標本から抽出された遺伝子の発現変化をリアルタイムPCRで確認した。9p24.1-p13.3の欠失が見られた症例と見られなかった症例の2群にわけ、リアルタイムPCRによる遺伝子発現に有意差があった2つの遺伝子を特定した。(2)2つの遺伝子について、腎癌細胞株でもその遺伝子発現が正常腎組織より低いものを選び、レンチウイルス系により、遺伝子導入を行った。2つのうち1つの遺伝子では、その過剰発現により腎癌細胞株の増殖が抑制された。しかし、アポトーシスや浸潤には関係しなかった。今後、候補遺伝子の機能解析をより詳細に行うことで、再発(転移)に関わる遺伝子異常の同定とそのメカニズムを解明する予定である。
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