研究課題
平成22年度ヒト剖検症例血栓症の免疫組織学的検討アテローム血栓症は死因の上位を占め、その病態の解明と予防・治療法の確立は医学のみならず社会的にも急務の課題となっている。アテローム血栓症の発症における血栓形成には、血小板の活性化とともに凝固因子活性化が重要である。我々はこれまでに、プラーク内には血液凝固系の引き金である組織因子が強く発現しており、プラーク破綻に伴って凝固活性が亢進され、これが血栓形成を促進し、急性心筋梗塞や不安定狭心症の発症に大きく関与することを明らかにしてきた。しかしプラーク内での組織因子の発現機序および血栓が血管内で成長する機序はまだ明らかにされていない。アネキシンA5は、臍帯および胎盤から精製された抗凝固活性を持つ蛋白質である。アネキシンA5は、様々な細胞質に存在し、組織因子活性化に必須のリン脂質に結合することが知られている。近年の報告では活性化もしくはアポトーシスにおちいった内皮細胞表面のリン脂質にアネキシンA5が結合することによって、組織因子活性を抑制し、抗凝固活性に働く可能性が示唆されている。しかし、動脈硬化症の進展およびアテローム血栓症の発症におけるアネキシンA5の関与については不明である病理組織学的に検討したところヒト動脈硬化巣において、アネキシンA5は、マクロファージに一致して分布しており、マクロファージの浸潤が強いほど、アネキシンA5の発現が強い傾向にあった。血栓自体には発現を認めなかった。これまでの報告では、アネキシンA5は、細胞のアポトーシスとの関連が示唆されており、血栓形成そのものには大きく関与しないことが推測される。今後、動物モデルを用いた解析をとおして、さらにアネキシンA5と血栓形成との関連を検討していく。
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