研究概要 |
テロメア短縮病変は組織学的にはほとんどがdysplastic intestinal metaplasiaの像を示すことから、まず、腸上皮化生において変化を示す遺伝子を検討した。腸上皮化生で過剰発現する遺伝子としてcripto (CR-1, TDGF-1)を報告者はすでに報告しているが、この遺伝子のcDNAを用いてサザン法で遺伝子変化を検討すると2.2-2.4kbpのfragmentの欠失が癌周囲腸上皮化生粘膜と胃癌組織に認められる。一方、ホルマリン固定胃切除標本を全割し、ISHによりテロメア量を全粘膜について検討し検出されたテロメア短縮病変部からDNAを抽出しマイクロサテライト領域の変化を検討すると、2qに欠失が認められ、CR-1のpseudogeneであるTDGF-2の遺伝子座に近接する。そこで、TDGF-2に対するprimerを作成し同一症例のテロメア短縮病変、腸上皮化生粘膜、及び、癌部組織でTDGF-2遺伝子の変化を検討すると、テロメア短縮病変と癌部組織でTDGF-2遺伝子欠失が認められた。TDGF-2はfunctional pseudogeneとされRT-PCRでもTDGF-2特異的配列の発現が認められる。また、TDGF-1 (CR-1)はnodal (activin)と結合しES細胞のstemness維持に働くことが報告されている。報告者はTDGF-2のES細胞における意義について検討中である。
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