研究課題/領域番号 |
21590389
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
野島 孝之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50142732)
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研究分担者 |
湊 宏 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10293367)
三浦 裕 名古屋市立大学, 医学部, 准教授 (90285198)
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キーワード | 病理診断 / 骨軟部腫瘍 / 遺伝子解析 / 悪性度評価 / ATBF1遺伝子 |
研究概要 |
ATBF1(AT-motif binding factor 1)は、α-fetoproteinの転写制御因子として発見されたが、その後、神経や筋の分化制御に関わったり、種々の癌で、細胞周期を停止させるシグナル系を活性化させる機能を有する癌抑制遺伝としての働きがあることが知られている。骨軟部腫瘍を中心にATBF1の発現や働きを解析しようと試みた。ATBF1蛋白は、404KDの大きな蛋白で、それぞれ別の部位を認識するR87、D1-120、AT6抗体を使用し、免疫組織化学的に解析した。その結果、良性、低悪性度の骨軟部腫瘍群でR87が核に陽性を示す症例が多かったのに対して、高悪性度群では核に陽性を示す症例はみられなかった。また、反応性中皮と悪性中皮腫の比較検討において、D1-120とAT-6抗体を用いた検討では、反応性中皮ではともに核に陽性を示す症例が多かったのに比し、悪性中皮腫ではD1-120では核に陽性を示す症例もみられたが、AT-6では核に陽性を示す症例が少なかった。このことから反応性中皮ではfull lengthのATBF1が核内に存在し、悪性中皮腫ではfull lengthのATBF1が核内に存在する症例が少ない可能性が考えられる。ATBF1核陰性群は核陽性群に比し、悪性度が高く、ATBF1抗体により、癌細胞の悪性度診断を早期に行うことができる可能性を示唆している。
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