1.がん幹細胞抗原のCTLエピトープ同定 (1)平成21年度までの研究で発見されたがん幹細胞抗原遺伝子候補の蛋白アミノ酸配列から、HLA-A2またはHLA-A24との結合モチーフを有するペプチドを検索し、合成ペプチドを作製。HLA結合アッセイを実施して、スクリーニングを完了した。 (2)がん患者末梢血リンパ球と上記抗原ペプチドとを共培養し、IFN-gELISPOTアッセイによって、特異的CD8陽性T細胞の誘導に適したペプチドをスクリーニングした。 (3)ペプチド特異的CTLが抗原陽性がん幹細胞株を障害することを確認した。 (4)OR7C1がん幹細胞抗原特異的CTLクローンの樹立に成功した。 2.マウス移植腫瘍モデルを用いたがん幹細胞抗原ワクチン試験 (1)がん幹細胞抗原遺伝子DNAJB8遺伝子ワクチンをマウスに免疫し、RENCA細胞をチャレンジ。腫瘍の抑制効果を比較解析した。 (2)NOD/SCIDマウスにヒトがん幹細胞を移植。OR7C1がん幹細胞抗原特異的CTLクローンを移入して、抗腫瘍効果を観察した。 以上の研究によって、以下のことが明らかとなった。 1.がん幹細胞特異抗原を複数個同定することに成功し、がん幹細胞障害性T細胞クローンを樹立した。がん幹細胞はCTLによって細胞障害を受けることを証明した。 2.従来型のがん抗原に対する免疫応答よりも、がん幹細胞特異的免疫応答を誘導する方が、より効果的な抗腫瘍免疫を惹起できることが明らかとなった。がん幹細胞を標的とした免疫療法の有効性と優位性を証明することができた。
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