アレルギー性腸疾患における制御性T細胞の特性を解明するため、我々が作製した免疫寛容モデル、アレルギーモデルの腸間膜リンパ節より単離したヘルパーT細胞のサイトカイン産生能を比較した。その結果、アレルギーモデルでは従来どおり著明なTh2タイプサイトカイン(IL-4)の産生が確認できた。これに対し免疫寛容モデルではTh1タイプ(IFN-γ)、Th2タイプ(IL-4)のサイトカイン産生はなく、制御性サイトカインのひとつであるIL-10の産生のみが認められた。このことは、免疫寛容モデルの腸間膜リンパ節細胞中に、サイトカイン産生パターンから判断して制御性T細胞に相当すると考えられるヘルパーT細胞が誘導されていることを示唆し、アレルギー性腸疾患の制御に関わるT細胞の誘導にLPSが重要な役割を演じるものとして意義深い結果のである。また、アレルギー性腸疾患の制御に関わる樹状細胞の研究では免疫寛容モデル、アレルギーモデル、無処理コントロール群の脾臓より単離した樹状細胞のサイトカイン産生能とフローサイトメーターによる表面抗原の発現様式を調べた。免疫寛容モデルは他の2群に比べ感作後24時間以内にIL-10産生が増強すること、制御性樹状細胞の表現形質とされるCD11c^<low>・CD45RB^<high>を示す細胞群の割合が増加することの2つの結果が得られた。これらの結果は、免疫寛容モデルの脾細胞中には感作後早期にIL-10を産生する樹状細胞が誘導されること、表現形質から判断して制御性樹状細胞に相当する細胞群であることを示唆し、制御性T細胞の誘導を上位で司ると想定される制御性樹状細胞の誘導にLPSが重要な役割を演じるものとして意義深い結果である。また制御性樹状細胞の同定は今後アレルギー性腸疾患の発症と制御の過程を解明する上で重要な発見と考えられる。
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