研究概要 |
研究者はこれまでValosin-containing protein(VCP)を介した抗アポトーシスと癌の転移との関連についての検討を行い、その転写制御因子としてE74-like factor2(ELF2)を同定した。VCP遺伝子発現に関連する因子としては、ELF2のほかに、Pre B cell leukemia transcription factor 1(PBX1)、PBX2などのPBX/TALE(three amino aoacid loop extension)群転写因子があることを研究者らはすでに報告している。当該年度において、研究者はELF2並びにPBX/TALE群転写因子[PBX1-4,Meis homeobox(Meis)1-3、pbx/knotted 1 homeobox(Prep)1、2]の機能解析のために、ヒト膵がん細胞株Panc1に対し、ELF2、PBX1、PBX2、Prep1に対するsmall interfering RNA(siRNA)を用いた遺伝子発現抑制を行い、発現の変化する遺伝子を検討した。ELF2発現抑制に伴いTNFSF18、CXCL5、CTGF、NFIB等の遺伝子の発現低下が観察されたがこのことの生物学的意義の解明には至らなかった。Meisl siRNAによるMeisl発現低下によりミトコンドリア遺伝子の発現が低下したが、PBX1,PBX2,Prep1に対するsiRNAでは低下しなかった。 このことはMeislがミトコンドリア遺伝子に対する新規転写因子である可能性を示唆した(Biochem Biophys.Res.Commun.2011)。
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