研究概要 |
腫瘍内のマクロファージを対象にして,マクロファージへの分化促進因子や樹状細胞への分化抑制因子を抗体を用いて阻害したり,それらに対する受容体の発現をsiRNAで抑制しながら樹状細胞への分化を促進させるGM-CSF,IL-4,Flt-3Lなどで処理して,樹状細胞への再分化法を確立することが平成22年度~平成23年度にかけての目的であり,今年度は以下の内容の論文の掲載を得た。また,実験ではIL-4の併用などの実験も行ったが,細胞が死んでしまうなどの影響で評価が困難であった。 論文掲載内容: 1)Granulocyte macrophage colony stimulating factor (GM-CSF)単独でF4/80陽性腫瘍内マクロファージを処理してもマクロファージは培養時の形態は一部変化したが)のM1マーカーやM2マーカーの発現に変化は認められなかった。 2)他方,macrophage colony stimulating factor (M-CSF)をM-CSF受容体(M-SCF-R)に対するsiRNAで抑制しながらGM-CSFでF/480陽性腫瘍内マクロファージを処理すると細胞内のシグナルタンパクの一部の変化がみられ,STAT1,STAT5やSTAT6などの樹状細胞で通常発現してくる蛋白質が増加し通常腫瘍内マクロファージでは発現していないp65が発現する一方で、p50やp105などのTAMで発現する分子については変化が認められなかった。 以上の事から,腫瘍内浸潤マクロファージを単球由来樹状細胞様の形質に再教育できることが示され,マクロファージの可塑性という当初の目的の一つは達成できた。
|