先に、C型レクチンSIGNR3が、特定の分化段階の単球(Mo)および一部の樹状細胞(DCs)/マクロファージ(Mφ)に発現することを示した。今回は主にMoの生体内動態とDCsへ分化を検討した。加えて、SIGNR3の微生物糖鎖認識および内因性リガンドの存在についても検討した。 先のCD115^+Mo(Ly6C^<high-int-low>Moが混在)の移入実験より、定常状態においてもSIGNR3^-Ly6C^<high>Moの各種臓器への流入が示唆されたことから、これを骨髄より精製したLy6C^<high>Moを用いて確認した。その結果、先の実験と同様に移入細胞の体表、腸間膜リンパ節、脾臓および肺への流入が確認された。よって、いわゆる炎症性Moが定常状態においても上記臓器に流入することが示された。また、血液中Ly6C^<high>およびLy6C^<low>MoにおけるセレクチンリガンドCD62Lの発現を検討した結果、前者にその高い発現が確認され、これがLy6C^<high>Moの体表リンパ節への流入に働いていると考えられた。一方、他の臓器では移入細胞のSIGNR3発現は見られるものの、DCsへの分化は認められなかった。以上の結果より、血液中のLy6C^<high>Moは定常状態においても様々な組織に流入しSIGNR3を発現し、体表リンパ節では一部がSIGNR3^+CD11c^<int>細胞およびCD11c^<high>のDCsに分化することが示された。また、SIGNR3の微生物認識に関して、SIGNR3四量体が血清型AおよびBのC.albicans臨床分離株由来精製N-glycanに直接結合することをレクチンELISAで確認した。また、同四量体が血管内皮細胞株KOP2.16に結合し、これがEDTAおよびmannanで阻害されることから、同細胞上にSIGNR3リガンドが存在することが示唆された。
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