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2011 年度 実績報告書

レクチン分子の発現を指標としたマクロファージサブセットの生体内動態

研究課題

研究課題/領域番号 21590417
研究機関京都大学

研究代表者

高原 和彦  京都大学, 生命科学研究科, 講師 (90301233)

研究分担者 稲葉 カヨ  京都大学, 生命科学研究科, 教授 (00115792)
キーワードレクチン / マクロファージ / 樹状細胞 / 単球
研究概要

先に、C型レクチンSIGNR3が単球(Mo)の分化に沿って発現すること、およびこれを新規Moマーカーとして用い、定常状態においてもMoがリンパ節に流入しCD11c^+の樹状細胞に分化することを明らかにした。今年度は、主にSIGNR3をマーカーとして腸炎時におけるMoの動態を検討した。
定常状態の腸におけるSIGNR3の発現を作製した抗SIGNR3抗体(4A4)を用いてWestern blotで検討したところ、弱いながらバンドが確認された。このバンドはSIGNR3欠失マウス(KO)では見られなかった。さらに、腸組織切片の免疫染色およびflowcytometryの結果、SIGNR3発現細胞は腸粘膜固有層に存在するCD11b^+F4/80^+かつLy6C^+のマクロファージ(Mφ)様細胞であった。次に、マウスにデキストラン硫酸(DSS)を用いて腸炎を誘導したところ、腸におけるSIGNR3の発現量およびSIGNR3発現細胞の増加が確認された。このSIGNR3発現細胞は、CD11b^+F4/80^+Ly6C^-であった。続いて、腸炎時の組織切片を抗Mφ mannose receptor(MMR)および抗SIGNR3抗体で染色した結果、SIGNR3^+の多くがMMR^+であり、当該細胞がM2型の抑制性Mφであることが示唆された。最後に、SIGNR3KOにDSS投与したところ、体重の減少幅の増加が示唆された。以上の結果より、定常状態の腸管にはLy6C^+SIGNR3^+のMoからMφへの分化過程と思われる細胞が少数存在し、炎症時には血流中のMoが流入し、何らかの因子によってLy6C^-MMR^+のM2型のMφに分化することが示唆された。さらに、SIGNR3は新たなMoマーカーとして有用であるだけでなく、DSS腸炎においてM2型Mφを介して抑制的な働きを持つことが予想された。
一方、SIGNR3は病原性のC.albicansを認識する。そこで、醐Rで構造を決定した8種の酵母表面糖鎖および可溶性SIGNR3四量体を用いてSIGNR3の認識糖鎖構造をSIGNR1およびヒトDC-SIGNを交えて比較・検討した。その結果、SIGNR3が酵母表面N-glycan側鎖をその還元末端α-mannoseおよびβ-mannan-cappedα-mannoseを介して認識することが明らかになった。一方、SIGNR1も後者型の側鎖は認識したが、DC-SIGNはしなかった。ただし、SIGNR3の同糖鎖に対する結合能はSIGNR1より低くSIGNR family内で糖鎖認識に差があることが示された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Efficient capture of C. albicans and zymosan by SIGNR1 facilitates TLR2-dependent TNF-α production by macrophages2012

    • 著者名/発表者名
      Takahara, K.
    • 雑誌名

      Int.Immunol.

      巻: 24 ページ: 89-96

    • DOI

      10.1093/intimm/dxr103

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Difference in fine specificity to polysaccharides of C. albicans mannoprotein between mouse SIGNR1 and human DC-SIGN2012

    • 著者名/発表者名
      Takahara, K.
    • 雑誌名

      Infect.Immun.

      巻: (印刷中)

    • DOI

      10.1128/IAI.06308-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] GM-CSF-independent CD1a expression in epidermal Langerhans cells : evidence from human CD1A genome-transgenic mice2012

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, C.
    • 雑誌名

      J.Invest.Dermatol.

      巻: 132 ページ: 241-244

    • DOI

      10.1038/jid.2011.280

    • 査読あり
  • [学会発表] 粒子サイズによる細胞応答性の差異-細胞には粒子の大きさに依存した応答経路が存在する2012

    • 著者名/発表者名
      高原和彦
    • 学会等名
      ナノ材料の安全性・社会受容に関するシンポジウム
    • 発表場所
      京都リサーチパーク(京都府)(招待講演)
    • 年月日
      2012-01-24
  • [学会発表] C型レクチンSIGNR1はDectin-1と共同して細胞のoxidative burstを促進する2011

    • 著者名/発表者名
      高原和彦
    • 学会等名
      日本免疫学会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県)
    • 年月日
      2011-11-28
  • [備考]

    • URL

      http://zoo.zool.kyoto-u.ac.jp/imm/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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