ADAM(a disintegrin and metalloproteinase)は、MMP(matrix metalloproteinase)近縁遺伝子ファミリーであり、MMPと同様に癌細胞増殖・浸潤・転移への関与が注目されている。我々は、ADAM28の癌細胞浸潤・転移に関わる分子をクローニングするためにyeast two-hybrid systemを用いてスクリーニングを行いADAM28結合分子としてVWF(von Willebrand factor)を見出し、その切断部位を決定した。また、VWFはADAM28非発現性癌細胞株ではアポトーシスを誘導するのに対し、ADAM28発現性細胞株ではADAM28によるVWF分解によりアポトーシスを回避することを明らかにした。さらに、バイオイメージングを用いてADAM28の癌細胞浸潤・転移への関与を検討するために、ルシフェラーゼを恒常的に発現するADAM28高発現安定細胞株(PC-9^<Venus-Luc>)をマウス尾静脈内注入による肺転移モデルを作製した。その結果、PC-9^<Venus-Luc>細胞の肺転移は、ADAM28 siRNAの投与やshRNAでADAM28の発現を抑制すると肺転移が有意に抑制された。以上のことから、ADAM28は血中のVWFを分解することで、VWF誘導性のアポトーシスを回避し、結果的に癌細胞転移促進に働く可能性が示唆された。
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