研究課題/領域番号 |
21590427
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
大森 泰文 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90323138)
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研究分担者 |
吉岡 年明 秋田大学, 医学部, 助教 (80302264)
榎本 克彦 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20151988)
山本 洋平 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70400512)
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キーワード | 腫瘍 / 肝細胞癌 / 癌幹細胞 / コネキシン / Tet-offシステム / side poulation |
研究概要 |
細胞質に局在するコネキシン32(Cx32)の量は肝細胞癌(HCC)の悪性度が高まるにつれて増加する傾向にある。すでに我々はdoxycyclineの除去時にCx32の細胞質内における過剰発現を誘導できるTet-off Cx32細胞をヒトHCC由来HuH7細胞株を用いて作製し、細胞質に局在するCx32がHuH7細胞の転移能を亢進させることを見出した。がんのhierarchy modelに従えば、各転移性腫瘍は播種した癌幹細胞(CSC)を起源としていると考えられ、Cx32がHuH7細胞集団内のCSCを増加させた結果、転移の頻度が高まった可能性がある。CSCの表現型の1つとして、side population (SP)と呼ばれる、Hoechst 33342蛍光色素の排出が亢進し、この色素に染まらない細胞集団の形成が知られている。実際、HuH7 Tet-off Cx32細胞のSP画分とmain population (MP)画分をfluorescence-activated cell sorter (FACS)にて分取し、免疫不全マウスの皮下に移植したところ、SP画分のみが腫瘍を形成した。そこで、HuH7 Tet-off Cx32細胞によるHoechst 33342の取り込みをFACSで解析したところ、Cx32の過剰発現時にSP画分が10倍以上に拡大していた。また、SPとMPをFACSで分取し、それぞれを一定期間培養後、再びFACSで解析したところ、SPからMPへの分化自体はCx32の発現量に影響されなかったが、Cx32過剰発現時にはSP画分が高率に維持されていた。一方、MPからSPへの転換率に対するCx32の影響は認められなかった。また、無血清の半流動培地内でCSCを選択的に維持しながらsphere形成能を検討したところ、SP画分は多数のsphereを形成し、Cx32の発現量に依存して数およびサイズとも有意に増加していた。したがって、細胞質に貯留するCx32がHuH7細胞におけるCSCの自己複製能を高めることが明らかとなった。
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