研究課題/領域番号 |
21590429
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
岡野 聡 山形大学, 医学部, 助教 (60300860)
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研究分担者 |
早坂 清 山形大学, 医学部, 教授 (20142961)
中島 修 山形大学, 医学部, 教授 (80312841)
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キーワード | 糖尿病 / アポトーシス / 膵β細胞 / インスリン分泌 / 膵島 / 視交叉上核 / 制限給餌 / リズム同調 |
研究概要 |
変異型CRY1 Tgマウスにおいて膵B細胞が週齢依存的に減少する機序を明らかにする目的で、前年度にアポトーシスのマーカーを組織免疫染色にて検出し、成熟期(19週齢)のTgマウス膵島でアポトーシスが誘導されると判定した。今年度は、その結果をさらに確かなものにするべく、TUNEL法にて組織上でアポトーシスの検出を行った。その結果、若齢期(4週齢)、及び膵B細胞の消失が著しい19週齢のいずれの膵島おいても、野生型と比較しアポトーシスの顕著な増加は見られないと結論づけた。前年度の結果は、その染色像の特徴から、交差反応による偽陽性を検出したものと考えられる。現在膵B細胞の増殖能を評価する実験を行っており、Tgマウスの膵β細胞脱落の要因をさらに追求している。前年度のリアルタイムPCRによる解析をさらに深化させ、膵B細胞の機能分子(インスリン1及び2、GLUT2、グルコキナーゼ)の発現を調べたところ、いずれも4週齢の時点で既に野生型と比較し有意に低下していることが判明した。これら遺伝子の転写調節に関与するMafAやPDX-1、NeuroD1、Hnf-1αは4週齢では低下が認められず、変異型CRY1はインスリン、GLUT2、グルコキナーゼの発現に直接的に影響を与える可能性が考えられる。さらに膵臓のインスリン含量を測定したところ、若齢期(5週齢)で既に野生型と比較し低下していることが判明した。以上の結果より、Tgマウスではインスリン及びグルコースセンシングに関与する遺伝子の発現が若齢から低下し、インスリン生合成不全及び分泌不全が惹起され、その結果糖尿病発症に至る可能性が示唆された。時間生物学的解析については、明暗(LD12 : 12)下で制限給餌を実施し活動リズムを測定した結果、Tgマウスの視交叉上核(SCN)では、同調因子として給餌刺激が明暗刺激よりも優位に働く特異な性質を持つことが示唆された。
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