我々はこれまでに代表的なSLE自然発症モデルである(NZBxNZW)F1マウスにおいて、B細胞ケモカインBLC/CXCL13の異所性高発現によるB1細胞の遊走局在異常がSLE病態形成に重要な役割を果たすことを示唆する成績を報告してきた。 本年度研究において、BWF1マウスでは、CXCR5、MHCクラスII、ICOS、CD69発現など、いわゆる濾胞性ヘルパーT細胞のフェノタイプを有するCD4T細胞が加齢に伴い増加していることが明らかになった。さらにこのCXCR5陽性CD4T細胞がB1細胞のIgG抗体産生を促進することも明らかとなった。一方、B1細胞はB2細胞よりはるかに強い抗原提示能を有し、自己CD25^-XD4T細胞を活性化し、IgG抗体産生を促進するヘルパーT細胞を誘導することが明らかとなった。またB1細胞との共培養によりCD25^+CD4T細胞のFoxp3の発現は低下することも明らかとなり、B1細胞の移入実験ではFoxp3陽性細胞とB1細胞の細胞間相互作用を示唆する像も認められた。さらに、B1細胞により活性化されたT細胞(CFSE^<low>CD4T細胞)もT_<FH>のフェノタイプを共有しており、B1細胞やB2細胞のIgG抗体産生を促進し、この抗体産生促進は抗CD40L抗体により阻害されることが明らかとなった。 以上の結果、B細胞ケモカインBLC/CXCL13の異所性高発現によるB1細胞のリンパ組織や標的臓器への遊走異常が、その微小環境下でT_<FH>への分化を促進しIgG自己抗体産生に関与する可能性が示唆された。またTregとの相互作用はFoxp3発現を低下させ、免疫寛容の破綻をもたらす可能性も示唆された。近年Treg、T_<FH>、Th17が相互に密接な関係を有することが明らかになりつつあり、SLE病態における病理学的意義の解明することにより、従来にない治療戦略が可能になることが期待される。
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