研究課題
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)や原発性胆汁性肝硬変(PBC)はいずれも難治性肝疾患であり、発症機序の解明や根本的治療法の開発が希求されている。我々は独自に開発した両疾患モデル動物の病態解析を通じ、従来全く異なる疾患として捉えられてきた両疾患に病理学的共通性がおることに気づいた。本研究では、"NASHとPBCに共通する門脈域の炎症/胆管障害は、ともに酸化ストレスがtriggerとなっている可能性がある"との仮説に基づき、我々が独自に開発したモデル動物の免疫・病理学的検討や、両疾患を合併するヒト症例の臨床病理学的検討を進めている。平成21年度の研究により、以下の成果が得られた。1. NASHモデル動物(MSGマウス)における自己免疫機序の証明MSGマウス(♀)は10ヶ月齢以降、高率に抗核抗体が陽性となった。一方、抗ミトコンドリア抗体は確認できなかった。抗核抗体陽性のマウスには門脈域の炎症細胞浸潤がより目立つ傾向が見られた。上記マウスの内臓脂肪における免疫細胞のcharacterをフローサイトメーターで解析し、多数の活性化マクロファージの浸潤が確認された。酸化ストレスマーカー(4HNE)は内臓脂肪や浸潤マクロファージに蓄積が見られたが、肝臓の蓄積は見られなかった。2. 自己免疫機序を合併するヒトNASH症例の臨床病理学的解析富山県内で、過去5年間に、12例の症例が確認された。性差では10:2で女性に多く、通常のNASHに比して肝臓の炎症細胞浸潤がより高度であった。自己免疫性肝炎やPBCで注目されている、B細胞の肝臓における浸潤が目立たず、肝臓の炎症細胞profileに特徴が認められた。
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