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2011 年度 実績報告書

Drs/GADD34による細胞生存制御と癌の悪性化

研究課題

研究課題/領域番号 21590437
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

井上 寛一  滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (30176440)

キーワード癌抑制遺伝子 / エネルギー代謝 / mTOR / 生体防御 / ストレス応答
研究概要

Drs遺伝子KO-MEF細胞とWT-MEF細胞との比較実験を中心にしてDrs/GADD34によるストレス環境化での細胞生存機構を解析し以下の成果を得た。1.前年度、我々はDrsKO細胞ではWT細胞に比べて解糖系が亢進しており、Drsが細胞のエネルギー代謝の制御にも関わってることを見出した。本年度はその分子機構の解析を行ない、DrsKO細胞ではピルビン酸から乳酸への反応を担うラクトースデヒドロゲナーゼ(LDH)の発現量がWT細胞に比べて有意に増加していることを見出した。また前年度、Drsがストレス応答蛋白GADD34との結合を介してTSC1/2と複合体を形成し、TSC2のThr1462のリン酸化をGADD34と協同して抑制することによってmTOR経路の抑制に関わっていることを明らかにしたが、解糖系の制御に関わるLDHの発現とmTOR経路がDrsの発現によって抑制されることを明らかにした。好気的培養条件下でも解糖系が亢進する現象は癌細胞に特徴的な代謝変化でワールブルグ効果と呼ばれている。Drs遺伝子の発現が多くの癌組織で抑制されていることから、Drsの発現消失がこの代謝変化を誘導することで癌の悪性化に関与することが考えられる。2.前年度、DrsKO細胞ではWT細胞に比べてVSVなどのウイルス増殖が亢進することから、Drsは癌だけでなくウイルス増殖の制御にも関与していることを報告したが、本年度はこのウイルス増殖亢進の分子機構を解析し、Drsによるウイルス増殖の抑制にはDrsからGADD34を介したmTOR経路によるウイルス蛋白合成の抑制が重要な役割をはたしていることを明らかにした。
これらの結果から、Drsはエネルギー枯渇、エネルギー代謝、ウイルス感染など様々なストレスに対する細胞応答に重要な役割をはたしていること、またDrsはストレス応答蛋白GADD34を介してmTOR経路の制御に関与していることが明らかになってきた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Suppression of viral replication by drs tumor suppressor via mTOR dependent pathway2012

    • 著者名/発表者名
      Tambe, Y., et al
    • 雑誌名

      Cancer Letters

      巻: 314 ページ: 82-91

    • DOI

      doi:10.1016/j.canlet.2011.09.015

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Opposite regulation of epitnelial-to mesenchymal transition and cell invasiveness by periostin between prostate and bladder cance cells2011

    • 著者名/発表者名
      Kim, C.J., et al
    • 雑誌名

      Int.J.One.

      巻: 38 ページ: 1759-1766

    • DOI

      doi:10.3892/ijo.2011.997

    • 査読あり
  • [雑誌論文] RBCC1 activates the p16 promoter through the interaction with hSNF52011

    • 著者名/発表者名
      Ochi, Y., et al
    • 雑誌名

      Oncol.Rep.

      巻: 26 ページ: 805-812

    • DOI

      doi:10.3892/or.2011.1329

    • 査読あり
  • [学会発表] Roll of the drs tumor suppressor in regulation of energy metabolism2011

    • 著者名/発表者名
      Yukihiro Tarabe, Hirokazu inoue
    • 学会等名
      第70回日本癌学会総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2011-10-03
  • [備考]

    • URL

      http://www.shiga-med.ac.jp/~hg.micro/

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公開日: 2013-06-26  

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