研究概要 |
1、マウス成体および胎仔肺(胎齢12日)からの肺上皮スフェア形成の研究: (1) 成体および胎仔肺で、CD45(-)CD31(-)sca-1(+)肺上皮細胞は、胎仔期には殆ど見られず、生後出現する。一方、スフェア形成能には、差が無く、scal陽性細胞から見ると胎仔期と成体では、肺上皮の幹細胞システムが異なることが示唆された。 (2) スフェア形成能は、増殖因子により影響され、EGF, FGF2により形成が亢進され、一方、形態形成因子であるFGF10では差が見られなかった。 (3) 形成されたスフェアについて、細胞分化、細胞内伝達物質の発現とリン酸化状態(AKT, PTEN, p38α, ERK. stat3など)、細胞増殖制御因子(cyclinD1. CDK4/6, CDK inhibitor p21, p27, p16)を免疫組織学的に検討した。Western blottingを含めて現在検討中である。 (4) スフェアをMatrigelを用いた三次元培養する事により、FGF1添加で分枝形成を誘導することができた。 2、tetO-mutant EGF receptor/CCSPT-rtTAマウス(肺特異的mutant EGFRマウス)を用いての実験 (1) Doxycycline(3g/L)4週飲水投与で、EGFR変異を誘導する事ができた。Scal陽性肺上皮細胞は軽度増加し、stat3のリン酸化が軽度亢進した。 (2) EGFR変異誘導下で、スフェア形成は軽度増加する傾向を示した。また、胎仔肺の器官培養下で、doxycycline長期曝露実験を行ったが、in vitroで腫瘍の形成は見られなかった。
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