癌の骨転移は、患者のQOLを著しく低下させ、予後不良を招く要因の一つであるが、癌細胞が骨髄に転移すること自体を阻害できる治療法は未だ確立されていない。そこで、我々は、画期的な骨転移治療法を開発することを目的に、骨転移について、従来の癌細胞側からのみならず、宿主免疫側からも腫瘍免疫学的に網羅的に解析した。骨高転移性のSnail発現癌細胞主体に解析した結果、癌細胞はSnailを発現することで骨髄へ転移し、免疫抑制性の細胞群を増加させて抗腫瘍免疫を全身的に抑制するが、特に、癌幹細胞様の細胞群がこの機序を制御している可能性が高いこと、また、Snail下流で制御される特定分子を阻害することによって、全身性の免疫抑制も骨転移も同時に解除できることなどを明らかにした。
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