研究概要 |
1)関節炎初期病変の時間的空間的な絞り込み 川崎医科大学のSPF飼育環境においてgp130F759は8ヶ月齢頃より理学的所見として明瞭な関節可動域制限が出現した。発症後には、血清IL-12p70, IFN-γ, IL-6, IL-17が増加していた。末梢リンパ組織のフローサイトメーター解析では、ケモカイン受容体CCR6陽性のIL-17産生CD4T細胞が存在し、一方、関節組織での遺伝子発現解析では、IL-17と共にCCR6のリガンドCCL20が発現されることを見いだした。さらに発症早期の変化を探索すべく関節に軽微な可動抵抗性を認める5ヶ月齢以前の血清IL-17を測定したところ、3ヶ月齢においてはgp130F759と対照野生型で同等に検出され、4ヶ月齢で共に低下し、5ヶ月齢ではgp130F759の血清IL-17が野生型の1.5倍に増加していた。これらの結果より最初期の病期として5ヶ月齢の関節、骨髄、脾臓、腸間膜リンパ節、鼠径部リンパ節よりRNAを調製しアレイ解析を行っている。 2)関節炎病変の組織学的解析 予備的実験では、発症後の関節組織でCD3^+CD4^+の細胞がMHCクラスII^+CD11b^+細胞と近接した局在を示した。 3)関節滑膜細胞のフローサイトメーター解析 関節組織細胞のフローサイトメーター解析では、臨床的関節炎が判定される以前に、すでに滑膜組織の細胞数が増加し、CD4T細胞でCD62L^-CD44^+の記憶・活性化型が優位となっていた。鼠径部リンパ節のCD4T細胞では、CD62L^+CD44^-のナイーブ型が優位であったことから、a)関節局所で活性化されているか、b)末梢リンパ組織の記憶・活性化型が蓄積している可能性が示唆された。 4)関節初期病変に関与する細胞のex vivo解析:1)の結果をふまえて22年度に5ヶ月齢を中心に行う。
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