各種糖鎖で被覆したリポソームをマウスに投与する事によって惹起されるT細胞免疫応答を、LISPOT Assayによって測定し、糖鎖構造の違いによる応答の差を検討した。オリゴマンノース被覆リポソーム(OML)に封入した抗原(卵白アルブミンOVA)5μgに反応して「特異的にINFγを産生する細胞数」は、500μgのOVAを直接、腹腔内へ投与した場合に相応するものであった。次に、5μgのOVAをシアル酸(Sialyl-Lactose)で被覆したリポソーム(SLL)に封入して投与した場合は、500μgのOVAを直接、腹腔内へ投与した場合の半分以下であった。一方、抗原特異的にIL-10を産生するT細胞数を指標として検討すると、SLLに5μgのOVAを封入した投与実験では、500μgのOVAを直接投与する場合と同等のIL-10産生T細胞数の誘導が見られたが、OML投与はその25%程度であった。これらの結果は、OMLは封入抗原に特異的なIFNγ産生T細胞を効率良く誘導でき、SLLは封入抗原特異的なIL-10産生T細胞を効率良く誘導できる事を示している。 これらの結果をふまえて、抗原特異的に炎症性疾患が発症・憎悪する動物モデルに対して投与をすすめ、病態への影響を引き続き検討する。
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