研究課題
リーシュマニア症の発症や重症化には腸管内蠕虫感染や栄養不良状態などの体内環境因子の関連が予想されるため、小腸寄生性線虫Heligmosomoides polygylusの感染マウスや鉄欠乏マウスを準備して、L.majorの感染実験を行った。H.polygylusの感染型第3期幼虫を200雙経口感染させたC57BL/6マウスでは感染12日目から糞便中に虫卵が観察されるようになり、その後、2ヶ月以上の持続感染に移行した。これらのマウスでは血清IgG1やIgEのレベルが上昇しており、Th2タイプ免疫応答の惹起が示唆された。これらのマウスにL.majorを感染させて足蹠の腫脹を観察したが、コントロール群と有意差は認められなかった。この知見はリーシュマニア抵抗性のC57BL/6マウスだけでなく、リーシュマニア感受性のBALB/cマウスでも認められた。腸管でTh2応答が誘導されているにもかかわらず、Th1免疫応答の誘導が不可欠なリーシュマニア原虫に対する感染防御が影響されないというのは新知見である。これはL.majorが足蹠とその所属リンパ節に限局した局所感染であることと関連するものかもしれない。次年度はこの現象の普遍性に関して研究を深める予定である。一方、栄養に関しては、Iron欠乏の感染防御に与える影響を調べたが、現時点で有意な差は認められていない。次年度は、Vitamin A、Zinc欠乏が感染防御に与える影響を解析する。
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