研究課題
リーシュマニア症の発症や重症化には腸管内蠕虫感染や栄養不良状態などの体内環境因子の関連が予想される。本研究の日的は、その体内環境因子が同症の発症に及ぼす影響を評価し、その機序を科学的に解明することにある。リーシュマニア症の発症・重症化に影響すると考えられる環境をミミックするものとして、腸管蠕虫感染や栄養不良状態におかれた状態のマウスを飼育・準備した。腸管寄生蠕虫としてマウス線虫H.polygylusを経口感染させ、栄養不良状態としてVitamin A、Iron欠乏食群などで飼育されたマウスを準備した。次いで、その影響の度合いを評価するために、宿主の栄養状態や免疫状態の変化をモニタした。H.polygylus感染ではIL-4、IL-5やIL-13の産生に代表されるTh2タイプの免疫応答が認められ、好酸球の増加、腸管杯細胞の過形成が認められた。Iron欠乏食を投与したマウスにおいては血清鉄の低下ならびに鉄欠乏性貧血が、Vitamin A欠乏食を投与したマウスにおいては皮膚状態の変化が認められた。このようなマウスにL.majorを皮下感染させた。これらのマウスにLeishmania majorを感染させた。各実験群ではLeishmania感染後にコントロール群と同様の足部腫脹、免疫応答が観察され、各群間で有意差は認められなかった。バングラデシュICDDR,B.の共同研究者らのフィールド調査から、脂質と感染感受性・抵抗性の関連が示唆されるデータが得られているので、今後はその辺りの関連を研究していく予定である。
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化学療法の領域
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