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2011 年度 実績報告書

発現遺伝子解析によるベネズエラ糞線虫の感染機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21590466
研究機関宮崎大学

研究代表者

丸山 治彦  宮崎大学, 医学部, 教授 (90229625)

キーワード線虫 / トランスクリプトーム / 寄生虫 / 感染 / 糞線虫 / 熱帯病 / メタロプロテアーゼ / 体内移行
研究概要

糞線虫や鉤虫は、世界的には深刻な健康被害と社会的損失をもたらしているが、代表的な「顧みられない病気」であり病原体に関する研究は少ない。糞線虫や鉤虫感染の最初のステップは、感染幼虫と呼ばれる感染型の幼虫が宿主の皮膚から侵入することである。本研究では、ラットの腸管寄生虫であるベネズエラ糞線虫をもちいて、感染幼虫の発現遺伝子を網羅的に解析し、宿主への侵入機構を明らかにすることを目的とした。
発現遺伝子の解析は、従来法による感染幼虫期cDNAのクローンライブラリの作製とシーケンシング、次世代型シーケンサによる孵化直後の幼虫期、感染幼虫期、体内移行幼虫期、成虫期の大規模cDNAフラグメント解析の両方によった。その結果、従来法で感染幼虫期に特異的な発現が観察されたアスタシン様メタロプロテアーゼは大きな遺伝子ファミリーを構成していることが次世代シーケンサによる大規模データから推測され、感染幼虫期のみに発現しているものだけでなく、体内移行期のみに発現しているものや全生活環を通じて発現しているものなど多数あることが明らかとなった。
次世代シーケンサによる大規模シーケンシングでは、約250万のリードから9,843遺伝子がアセンブルされ、発現解析が実施された。興味深いことに、感染幼虫特異的に発現している遺伝子は、上述のメタロプロテアーゼ以外ではアセチルコリンエステラーゼなどがあったが、既知のタンパク質との相同性がないものが多く約半数が機能不明であった。現在のところ感染幼虫の遺伝子ノックダウンには成功していないが、これらの機能不明遺伝子の機能を何らかの手段により明らかにすることが、感染機構の解明に不可欠と考えられる。また、以上の研究過程において、糞線虫類は進化の過程でいったん失ったフェロケラターゼ遺伝子を、細菌からの遺伝子水平転移によって獲得したことを明らかにすることができた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] A novel C-type lectin identified by EST analysis in tissue migratory larvae of Ascaris suum2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshida A, Nagayasu E, Horii Y, Maruyama H
    • 雑誌名

      Parasitology Research

      巻: 110 ページ: 1583-6

    • DOI

      doi:10.1007/s00436-011-2677-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A patient who developed toe necrosis due to poor blood circulation after an interdigital tick bite2011

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki H, Yamaguchi K, Iwase T, 他
    • 雑誌名

      Journal of Cardiology Cases

      巻: 4 ページ: e106-e109

    • DOI

      doi:10.1016/j.jccase.2011.06.005

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Eosinophilic pneumonia due to visceral larva migrans possibly caused by Ascaris suum : a case report and review of recent literatures2011

    • 著者名/発表者名
      Izumikawa K, Kohno Y, Izumikawa-K, 他
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Infectious Diseases

      巻: 64 ページ: 428-432

    • 査読あり
  • [学会発表] Genome and transcriptome analysis of Strongyloides venezuelensis, an intestinal nematode of rats2011

    • 著者名/発表者名
      丸山治彦
    • 学会等名
      XIII International Congress of Bacteriology and Applied Microbiology
    • 発表場所
      札幌市(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-08
  • [図書] はじめの一歩のイラスト感染症・微生物学2011

    • 著者名/発表者名
      丸山治彦
    • 総ページ数
      188
    • 出版者
      羊土社

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公開日: 2013-06-26  

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